金属加工業3社への公開取材で、ロボット導入のコツに迫る
――今でこそロボットを活用する3社ですが、初めての導入時にはどんな苦労がありましたか。
鷲﨑 簡単な工程から始めたので大きな苦労はありませんでしたが、全てを自動化しようとすると壁にぶつかると思います。人手のままで良い作業と、自動化したい作業と明確な線引きが重要です。
加藤 1台目の導入は10年ほど前ですが、恥ずかしながら全く知識がないまま購入しました。なかなか周囲にも頼れず、自分なりに調べながら、ソフトウエアの知見のある社員の力も借りてなんとか使えるようになりました。
山田 経済産業省のロボット導入実証事業の補助を受けて、カメラやパーツフィーダーと合わせてロボットを導入しました。ただ、当時はカメラの性能も十分でなく、自動化するには難しい作業内容でした。導入前の土台作りが重要と痛感しました。
――そうした苦労がありながらも、自動化を進めてきたのですね。ロボット導入後のメリットはいくつかあると思いますが、ずばり、どれくらい儲かるようになりましたか。
鷲﨑 誰が聞いているか分からないので、儲かっているかどうかはちょっと置いておきます(笑)。ただ、ロボットが稼働する現場とのことで工場見学に来る企業が増え、周囲から注目を集めているとの意識が社員の中に生まれたように思います。ロボットや人工知能(AI)を業務に取り入れようとする過程で、社員に普段の仕事以外のことを考えるきっかけを与えられたのも良かったですね。
加藤 工場内のロボット5台の稼働状況を考えると、現状はそれほどプラスではないかもしれません。ただ、自動化に取り組んできたことで、未来に進もうとの気持ちが社内で養われ、モチベーションの向上にもなったと感じます。また今後は人材採用が一層難しくなるでしょうから、製造業に関わってこなかった人でも働きやすい自動化した工場である点が、大きなメリットになりそうです。
山田 冒頭でも伝えた通り、機械の稼働時間が大幅に向上しました。量産部品と少量生産の部品を明確に分けて生産できるようになり、時間的余裕も生まれました。また、社員のモチベーション向上はやはり感じますね。ロボットシステムを組み上げる最中の社員が、とても楽しそうに取り組んでいるので、仕事の中で何が喜びになるかが変わりつつあるように感じます。
――最後に、失敗しないロボット導入のコツを、改めて教えてください。
山田 ロボットを導入するに当たり、いかに人の喜びにつなげられるかを意識すれば、社内にも受け入れられ、自動化が進んでいくでしょう。
加藤 失敗しないのは難しいですが、失敗を乗り越えて諦めずに先に進もうとする力強さが大事です。時には周囲の助けを借りることも必要ですね。
鷲﨑 何も動いていないことが一番の失敗で、まずはやってみる姿勢を持つべきです。今はベテラン社員も以前より楽しそうに働いていて、ロボットは会社をより良くする要素にもなります。
――とにかくやってみて、諦めずに社内外と協力して進めるのが、成功への近道になりそうですね。登壇者の皆さま、ありがとうございました。
(聞き手・ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)
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