生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

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  1. 1. 予算はどのくらい?
  2. 2. 実際の導入コストは?

1予算はどのくらい?

 サイズや機能に応じて産業用ロボットの価格はさまざまですが、小型で安価なものであれば、本体だけなら100万円台から入手できます。しかし、ロボットは本体だけでは使えません。ロボットハンドや架台に加え、要望に応じて安全柵やビジョンセンサーなどさまざまな周辺機器が必要になります。

必要な周辺機器の例
  • 安全柵
  • 架台
  • エンドエフェクター
    (アーム先端のハンドなど)
  • ジャケット
    (アームに着けるカバー)
  • ビジョンセンサー
  • レーザーセンサー
  • コンベヤー

 自社で自動化システムを構築できる技術力があるなら別ですが、専門のシステムインテグレーター(SIer)に自動化システムを構築してもらうシステムインテグレーション費用も必要になります。
 総額は本体価格の何倍にもなるのが一般的です。

 ロボット導入に掛けられる予算は企業ごとにそれぞれだと思いますが、コスト削減や生産性の向上を狙う事例では投資額の回収まで2年ほどで計画することがよくあります。1年での投資回収計画を立てる企業もあり、実際には1年掛からずに回収できた事例もあります。品質の安定化などの付加価値を求めるのであれば5~6年で計画する企業もあり、危険作業や過酷作業の代替などを目的とする場合はそれ以上の回収期間で計画することもあります。

 「人件費は給与額の1.5~2倍」などとよく言われますが、年収300万円(人件費は500万円と仮定)の社員4人でまかなっていた作業を「ロボット+1人」で担えるようになるなら、単純計算で毎年1500万円の効果があります。自社の目的やコストに関する考え方を一度整理し、どの程度までなら予算を掛けられるか目安を作っておくと良いでしょう。

 また人件費との単純な比較結果に関わらず、ロボット導入に踏み切る企業が増える傾向にあります。


人を雇う場合
  • 技能習得に時間が掛かる
  • 技能を習得しても辞めてしまうリスクがある
  • 採用活動のコストが高く、費用対効果が明確ではない
  • 必要な人数を採用できない恐れがある

計画通りにいかない


ロボットを導入する場合
  • 技能習得の時間が必要ない
  • 人と違って辞める心配がない
  • 採用活動が必要なく、計画的に台数を増やせる
  • 労務管理が不要で、休憩や休暇なしで24時間稼働できる
  • 作業品質が安定する

計画が立てやすい

 また、人材は採用しても技術の習得に時間が掛かり、技術を習得してもその人材が定着するか分からないといった不確実性があります。人手不足から思うように人員増強ができない企業も多く、採用活動に掛かる費用も年々上昇傾向にあります。こうした課題を解消するため、ロボット導入を決める企業が増えています。
 ロボットは購入やリースの他、近年ではレンタルという選択肢も登場しています。ロボットシステムは安い買い物ではありません。本格的に投資するだけの価値があるか、短期間だけ試しに使ってみるのもよいでしょう。

2実際の導入コストは?

 ロボットは半製品(=単体では完成品ではない)と言われ、要望に合わせてシステムを設計・構築するシステムインテグレーションを経て初めて機能するものです。

システムインテグレーションの主な流れ
  1. ① コンサルティング、構想設計
  2. ② 詳細設計
  3. ③ 周辺機器の手配
  4. ④ ハンドなどの製造
  5. ⑤ システムの組み立て、調整など
  6. ⑥ ティーチング

 システムインテグレーションには、導入したいロボットシステムのイメージを具体的なレベルにまで落とし込むためのコンサルティングに始まり、詳細設計、周辺機器の手配、既製品では対応できないハンドなどの製造、システムの組み立て、調整、ティーチング(動作のプログラミング)などさまざまなものが含まれます。

 ロボットシステムは各現場に合わせてオーダーメイドで構築されることが多いため、費用の相場や平均額などは明確ではありませんが、参考になるデータは公表されています。そのいくつかをご紹介します。

 日本ロボット工業会が2017年に制作した小冊子「ここが知りたい!ロボット活用の基礎知識」では、4つの想定例を挙げてロボット導入のコストを紹介しています。
 工作機械に加工材料を着脱するシステムは980万円で、本体の他にロボットハンド、架台、安全柵、製品ストッカーを使ってシステムを組んでいます。全体に占める比率が最も高いのがシステムインテグレーション関連費です。構想設計やリスクアセスメント、詳細設計、製造組み立て、設置工事、調整などにそれぞれ費用が掛かり、520万円を占めます。

工作機械への加工材料の
着脱システムの価格例
ロボット本体 300万円
ロボット関連装置
(架台、ハンド)
70万円
ロボット周辺設備
(安全柵、製品ストッカー)
90万円
システムインテグレーション
関連費(設計、組み立てなど)
520万円
総額 980万円
出所
日本ロボット工業会
「ここが知りたい!ロボット活用の基礎知識」

 その他、パラレルリンクロボット2台とコンベヤーを使った製品の箱詰めシステムは5050万円、ロボット4台を使った製品の組み立て工程は6000万円、パラレルリンクロボットを10台使った弁当工場などで食品を箱詰めするシステムは2億円と紹介されています。

 経済産業省の助成を受けて日本ロボット工業会が実施した「ロボット導入実証事業」も要した費用が公表されており、自社の導入費用を考える参考になります。

 2018年度の導入事例をいくつかを挙げると、ある食料品メーカーではフォークリフトなどで運搬できるように段ボール箱をパレットに積む「パレタイジング作業」のロボットシステムを2500万円で導入しました。
 最大で12kgにもなる箱を170cmの高さまで積み上げる過酷な作業を代替するもので、投資回収期間は5.2年です。
 別のある油圧機器部品工場では、製品の検査工程に双腕ロボットを導入しました。事業規模は2520万円で、投資回収期間は4.6年です。

 この導入実証事業では投資回収までの期間も公表されていますが、同事業はこれまでロボットがあまり使われてこなかった分野での先進的な活用事例が対象となります。それら先進事例と比べて、すでに手法が確立済みの用途や分野ならば、投資回収期間は短くできるケースが多いでしょう。
 また、今挙げた2事例はロボット1台を使った比較的シンプルなシステムでしたが、複数台を使った複雑なシステムであれば当然ですがもっと高額になります。

 ロボット導入実証事業の「事例紹介ハンドブック」は2016年版、2017年版、2018年版が発行されており、それぞれ日本ロボット工業会の「ロボット活用ナビ」などからPDFを無償ダウンロードできますので、一度見てみることをお勧めします。

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