生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン
「産業用ロボットの導入に興味はあるけど、何から始めればよいか分からない…」
――そんな方でも心配いりません。
当サイトを見ながら1ステップずつ進めていきましょう。
あなたのロボット導入の目的は何でしょうか。それによってシステムの内容も変わります。
何をしたいか分からない段階で、ロボット商社やシステムインテグレーター(SIer)などに「ロボットで何かできないか?」と聞くのは当サイトではあまりお勧めしません。
家電量販店で「大画面テレビで高画質の映像が見たい」や「乾燥機能付きの洗濯機が欲しい」と伝えれば、店員さんは要望にあったお勧めの製品を紹介してくれます。しかし「何か家電が欲しいのですが…」と言う人に対し、どれだけ知識の豊富な店員であっても良い提案はできません。
それと同じで、産業用ロボットは汎用性が高く幅広い用途に使えるため、「何かに使いたい」ではなく、「この目的でこの工程に使いたい」とのイメージが必要です。ロボットで解決したい自社の課題が明確であればあるほど、ロボット商社やSIerからの提案もより具体的になり、ニーズに合致したものになります。
ロボット導入を経営層からのトップダウンで行うこともあれば、現場からのボトムアップで行うこともあるでしょう。いずれにせよ、ロボット導入の計画を立案・推進するなら、ロボットで解決したい課題をまずは考える必要があります。
「ちょっと考えてみたけど、解決したい課題が明確には浮かばない」、それでも問題ありません。情報収集を進める中で「そういえばウチもこれは課題だった」と気付くこともありますので、産業用ロボットに興味があるならそのまま「ステップ2」に進みましょう。
ロボットで解決したい課題を考えましょう。
近いうちにロボット専門の展示会があるならば、ぜひとも足を運んでみましょう。最新のロボットが展示してあるだけでなく、各社が工夫を凝らし、さまざまな「ロボットの使い方」を提案しています。自社のヒントになる使い方や、適した機種などが見つかるかもしれません。
また、ロボットの専門展だけでなく、ロボットが活躍する各業界の展示会も有効な情報収集の場になります。工作機械の展示会では工作機械と一体になったロボットシステムが、食品機械の展示会では食品機械として機能するロボットシステムが展示されます。
展示会は一日でさまざまな情報が得られ、大変役立ちますが、開催時期や開催地が限られます。「しばらくはそうした展示会がない」「開催地が遠くて行けない」といった方は、ショールームに行く手もあります。
近年はロボットのショールームを開設するロボットメーカーやロボット商社、SIerが増えており、地方自治体が運営を支援するものもあります。
より手軽に調べるには、やはりインターネットが適しています。ロボットメーカー、ロボット商社、SIerなど各社がホームページを持っています。近年は動画を掲載したページなども増えています。
ロボットメーカーやロボット商社、SIerなど各社のホームページを見るのも良いですが、「そもそもどの企業のホームページを見ればよいかもよく分からない」という人は、産業用ロボットに関するあらゆる情報をワンストップで提供している専門の情報サイトが便利です。
一番のお勧めはもちろん、当サイトです。常に新しい情報が提供されるこのサイトを「お気に入りに登録」し、チェックする習慣をつければ、ロボットに関する知識が自然と身に付き、情報不足に困ることはなくなるでしょう。
このサイトを「お気に入り登録」してチェックしましょう。
いよいよ自社に適したロボットシステムの検討に入ります。とは言っても、難しく考える必要はありません。具体的な仕様は専門のSIerや商社と一緒に詰めればよいため、導入したいロボットシステムを「ざっくりイメージできる」程度で構いません。
ステップ1・2で、ロボットを導入したい工程などはイメージできていると思います。その工程をどのようにするのか、対象ワークや工場レイアウト(ロボットの設置場所)、求める生産性の水準などもできる限り明確にしておきましょう。
近年では、特定の用途向けにロボットをあらかじめ組み込んでパッケージ化したシステムも開発されていますので、もし自社に適したものがあるならそのパッケージを導入しても良いでしょう。システムの構築(システムインテグレーション)に掛かる費用や立ち上げまでの時間を大幅に削減できます。
自社に合わせてロボットシステムを一から構築する場合、注意が必要なのは人の作業をそのまま置き換えにくいケースもあるということ。ロボットは便利ですが、万能ではありません。ロボットを導入するならば、ロボットがやりやすいように作業内容を切り分け、ロボット向けに整えてあげる必要があります。
またすべての工程をロボットで自動化しようとすると、システム構築の費用が膨れ上がることがあります。人に向く作業もあれば、ロボットに向く作業もあります。ロボットで自動化が難しそうな工程は自動化せず、人手で行うのも一つの考え方です。
例えば、ロボットを使ったある画像検査システムでは、まれにしか出ないNGワークの回収作業の自動化は費用対効果が低いと判断し、NGワークは人が回収する方式にしてコストダウンを実現しました。ロボットと人の作業を上手く切り分けることは、導入企業の利益に直結します。
システムの詳細はSIerとともに考えれば良いですが、SIerからの提案を判断できるようになるためにも、こうした知識を持っておいて損はありません。
必須ではありませんが、もし可能であれば作ってほしいロボットシステムの要件をまとめた「提案依頼書(RFP)」の原案作成に挑戦しましょう。
――など
事前にRFPの原案があればロボット商社やSIerなどからの提案がより具体的になり、見積もりも正確になります。事前に自分の中にある程度のイメージがあれば、提案された計画の良しあしや費用を判断しやすく、その後の商社やSIerとのやり取りもスムーズになります。
「提案依頼書(RFP)」の作成に挑戦しましょう。
ステップ1~3はできたでしょうか。これをおろそかにすると「多額の費用を払って導入したのに、役に立たなかった」となってしまう恐れもありますので注意しましょう。うまく活用できずに、工場の隅でほこりをかぶっているロボットシステムも少なくありません。
コンサルティングに力を入れるロボット商社やSIerにならばステップ1~3を含めて丸投げすることもできますが、それでも最低限相手の提案を評価できるだけの知識は不可欠です。
さて、「ステップ4」に入りましょう。自社に合ったロボットシステムのイメージができたなら、どこに連絡すればよいのでしょうか。
ロボットシステムの導入にはロボットメーカーやロボット商社、SIerなど関係する企業が数多く、初めて導入を検討する方は「どこに連絡すればよいか分からない」と言うのが本音でしょう。結論から言えば、多くの場合、先ほど挙げたどこに連絡をしても間違いではありません。
この時点で使いたいロボットの目星が付いているのなら、そのロボットを製造するメーカーに連絡すれば、大抵の場合は販売代理店や協力関係にあるSIerを紹介してもらえます。日ごろから付き合いのある機械商社や販売店がロボットを扱っているのなら、その会社に相談するのが一番手軽です。自社が求めるロボットシステムを構築してくれそうなSIerに心当たりがあるのなら、SIerに直接連絡するケースも考えられます。メーカーが製造したロボットを代理店の商社が販売し、SIerがシステムを構築する、どこに連絡してもこの流れは基本的に変わりません。
SIerを選ぶ場合は、特定の業界に強いSIerにすることも一つの手ですが、打ち合わせや現場での検証などを綿密にするため、設置場所に近い地域のSIerを選ぶことも重要です。
自社で導入したいロボットシステムのイメージを伝え(RFPの案があるならそれを提示し)、それに対する具体的な提案や見積もり額、導入スケジュールなどに納得がいけば、いよいよ契約となります(※予算やコストについてはこちらを参照)。契約後はSIerにシステムを構築してもらい、契約通りのものが出来上がれば検収して運用開始となります。
さまざまなルートがあるので、自社に合ったものを選びましょう。
基本的な操作や日常の点検だけでなく、運用時にはロボットの動作をプログラミングする「ティーチング」も重要です。以前は、ティーチングは専門家がするものでした。しかし最近では、専門家でなくてもティーチングができるような機能がいろいろと登場しています。
アームを手で持って動かすことで動作を覚えさせるダイレクトティーチ機能や、感覚的にプログラミングできるビジュアル化された入力用インターフェース、動きの始点と終点を入力するだけで良いティーチレス機能など、動作の入力を容易にするさまざまな方法が開発されています。
そこまで特殊な機能がない製品でも、ひと昔前と比べると操作性が高まっています。
ロボットシステムの立ち上げ時にはSIerがティーチングをしてくれます。ロボットに任せる仕事を大幅に変える時も、SIerに依頼してシステムを組み替えや再ティーチングが必要かもしれません。
しかし、扱うワークが少しだけ変わった際の再ティーチングは自社でできる方が良いでしょう。意欲のある若手社員などを担当者に据え、メーカーなどが実施する講習会などに参加させて勉強させる必要があります。これができれば、大枚をはたいて導入したロボットシステムが、工場の隅でほこりをかぶるリスクは大幅に減らせます。
ロボットのティーチングや検査をするには、厚生労働省令「労働安全衛生規則」に基づく講習(特別教育)の受講が必要になります。
簡単な再ティーチングは自社でできるようにしましょう。