• イベント
2026.07.01
★お気に入り登録

金属加工業3社への公開取材で、ロボット導入のコツに迫る

「先進ユーザー3社と語る、“失敗しない”ロボット導入のコツ」と題した公開取材が、6月12日に実施された。愛知県で開催された「ロボットテクノロジージャパン(RTJ)2026」の会場内で、ロボットを実際に活用する金属加工業3社が、体験談やそこから得た知見などを語った。各社からの「導入前の土台作りが重要」「全く知識がないまま1台目を購入してしまった」「社員の主体性が上がった」などの言葉に、50人以上の聴講者が聞き入った。

水野敦志:ロボットダイジェスト編集部

失敗しないコツとは

RTJ2026の会場内で実施された公開取材の様子

 6月11日~13日の3日間、愛知県常滑市の「アイチ・スカイ・エキスポ(愛知県国際展示場)」で開催されたRTJ2026は、中部圏で最大のロボット・自動化専門展であり、過去最多の4万7107人が来場した。各出展者のブースに加え、基調講演や併催イベント、特別セミナーなど見どころにあふれる展示会だったが、会期2日目の公開取材もまた多くの来場者の注目を集めた。

 場所はホールDの入り口付近に設置された「robot digest(ロボットダイジェスト)」の特設ブースで、午後3時から開始となった。ロボットダイジェスト編集部の桑崎厚史記者がファシリテーター(進行役)を務め、製造現場でロボットを使いこなす3社に、ロボット導入時に失敗しないためのコツを聞いた。ここでは公開取材の様子の一部を紹介する。


 

導入前の備えが鍵

――まずは各社の事業内容と自動化した工程について紹介をお願いします。

「設備稼働率が大きく向上した」と語る山田製作所の山田英登社長

山田製作所(愛知県あま市)
山田英登社長(以下、山田)
 1986年に愛知県あま市で創業し、ロボット用減速機や油圧機器、農業機械などの精密部品の研削加工が主な事業です。現在の従業員数は60人で、そのうち男性が19人、女性が41人と多くの女性が活躍しています。
 ロボットは研削盤への加工対象物(ワーク)の自動供給に使っており、稼働中のロボットシステムが計8台あります。導入前は作業者の負担が大きく、属人化で生産量にばらつきが生まれるなどの課題がありました。
 そこでまず、現場の課題抽出や作業の標準化に取り組み、土台を整えてから自動化に臨みました。設備の1日当たりの稼働時間は、手作業中心だった時代が平均で3時間~4時間だったのに対し、ロボット導入後は20時間まで上がっています。属人化からの脱却や生産の安定化も、ロボットの導入効果です。

カトウの加藤欣吾社長は「付加価値の高い作業に集中できるようになった」と話す

カトウ(川崎市中原区)
加藤欣吾社長
(以下、加藤)
 川崎市中原区で55年に創業した金属加工業で、製缶や板金、切削加工を手掛けています。特にアルミ素材の加工が多く、多品種小ロットを得意としています。量産ではないため加工内容が日々変わる難しさがあり、自動化する上でも単に量産向けシステムを取り入れるのではなく、自社に合った内容を考える必要がありました。
 まず溶接工程に、ワーク搬送用と溶接用の計2台のロボットを導入しました。その際に人がやるべきことと、ロボットがやるべきことを区別して自動化を進めました。さらに工作機械へのワーク供給も自動化し、最大で16個のワークを連続して加工できる生産体制を構築しました。
 自動化したことで、作業者の段取り時間が減少し、より付加価値の高い作業に集中できるようになりました。

「人材育成面の効果も」とスザキ工業所の鷲﨑圭一朗取締役

スザキ工業所(岐阜県各務原市、鷲﨑純一社長)
鷲﨑圭一朗取締役(以下、鷲﨑)
 79年の設立以来、岐阜県各務原市で自動車部品のプレス加工や溶接を専門としてきました。工場では3台の協働ロボットが稼働しています。1台目の導入時は、ロボットの機能や特徴への理解を深める目的もあり、簡単な工程を自動化しようと考えました。単一のワークをプレス加工する生産ラインを選定し、プレス後のワークの箱詰め作業を自動化しました。
 その後に社内でロボットの特徴などを議論し、次に自動化すべき工程について投げかけたところ、社員から具体的な提案がありました。そして2台目、3台目と段階的に自動化を広げました。ロボット導入で省人化につながっただけでなく、社員の主体性も高まり、人材育成の面でも効果があったといえます。

同じ企業の記事

>>[エディターズノートvol.28] ロボットを扱える人が爆増中!

>>編集室だより/2026年6月末

>>[エディターズノートvol.27] フィジカルAIって?

>>編集室だより/2026年5月末

>>【読んで発見「RTJ2026」vol.3】ヒューマノイドが続々と

>>[直前特集RTJ2026 vol.1] 過去最大規模で6月11日から

>>【読んで発見「RTJ2026」vol.2】物流向け提案の最前線

>>【読んで発見「RTJ2026」vol.1】自動化のヒントを探す場に

>>「ロボットテクノロジージャパン2026」が6月11日から開幕!

>>[エディターズノートvol.26] 予約はお済みですか?

>>編集室だより/2026年4月末

>>[エディターズノートvol.25]ゲームチェンジャーは生成AI!?

>>編集室だより/2026年3月末

>>[エディターズノートvol.24]教えて、ロボットさん

>>編集室だより/2026年2月末

>>[エディターズノートvol.23]“不気味の谷”は近い

>>編集室だより/2026年1月末

>>[エディターズノートvol.22]エネルギーに満ちあふれる年に

>>編集室だより/2025年12月末

>>[エディターズノートvol.21]現在・過去・未来

>>編集室だより/2025年11月末

>> [MECT2025フォトリポート]ロボットによる自動化が定番に

>>[エディターズノートvol.20]活発化するM&A

>>[エディターズノートvol.19]担当者によると

>>[エディターズノートvol.18]未来を作る

>>MECT2025の来場登録を開始、ボーイングの自動化の最新事例も

>>「ロボットテクノロジージャパン2026」の出展受け付けを開始

>>[エディターズノートvol.15] まず自分を売る

>>[人事]八角秀が社長に就任/ニュースダイジェスト社

>>1985年に開催した「FMS&ロボット展」の映像を公開/ニュースダイジェスト社

>>[特別企画 新ロボット展 in 愛知 vol.1]ROBOT TECHNOLOGY JAPAN、リベンジへ/RTJ事務局長インタビュー

>>国際物流総合展にロボット専門メディアが出展/ニュースダイジェスト社

>>ロボットテクノロジージャパンの開催を見送り/ニュースダイジェスト社

>>ロボットダイジェスト東京支社を移転/ニュースダイジェスト社

>>産ロボ専門のウェブマガジンがプレオープン/ニュースダイジェスト社

★お気に入り登録

BASIC KNOWLEDGE