生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2021.06.16

連載

[注目製品PickUp!vol.35]ロボ守る6つの素材/ナベルホールディングス「Robot-Flex」

ロボットダイジェスト編集部が注目したロボット関連の製品を紹介する「注目製品PickUp!」も35回目を迎えた。今回は、ナベルホールディングス(ナベルHD、三重県伊賀市、永井規夫社長)のロボットカバー「Robot-Flex(ロボットフレックス)」を取り上げる。ロボットの用途に応じて6種類の素材の用意し、ロボット本体や内部機構を過酷な環境から守る。一般的な産業用ロボット向けにはオーダーメードで製作する戦略を取り、協働ロボット向けでは標準品のラインアップ拡充に取り組む。

長寿命や安定稼働を実現

 ナベルHDは、ジャバラメーカーのナベル(住所と代表者はナベルHDと同じ)の持ち株会社として2016年に設立された。ナベルの製品やロボットフレックスなどを販売する他、台湾のテックマンロボットの協働ロボットの正規代理店も務める。

 今回紹介するロボットフレックスは、ナベルHDが17年に立ち上げたロボットカバーのブランドだ。
 ロボットの用途に応じて、①防じんや防水性に優れた「一般」②耐衝撃性を備えた「ブラスト用」③塗料ミストの吸着性が高い「塗装」④クーラント(冷却用の切削油)に強い「工作機械・産業機械」⑤スパッタ(溶接時に飛び散る金属の粒やかす)を防ぐ「溶接」⑥耐薬品性に優れた「食品・医療」――の6種類のカバーをそろえる。ロボット本体や内部機構を過酷な環境から守り、長寿命や安定稼働を実現するため、それぞれに特殊な素材を採用した。

 カバーの需要は産業用ロボットや協働ロボットのユーザーを中心に拡大しつつある。永井社長は「ロボットフレックスの中では、特に⑥の食品・医療への反響が大きい。薬品だけではなくクーラントにも強く、実は工作機械の分野でも引き合いが増えている」と話す。代理店への営業活動に加え、今後は法人向けの電子商取引サービスも活用して販路を広げる考えだ。

  • スパッタを防ぐ「溶接」のカバー

  • 耐薬品性に優れた「食品・医療」のカバー

柔軟に着せ替え

 同社は、一般的な産業用ロボット向けではオーダーメードでカバーを製作する戦略を取る。3次元スキャナーで事前に産業用ロボットの動きを撮影した上で、顧客のニーズに合った素材や形状のカバーを提案する。

 一方、協働ロボット向けでは標準品のラインアップ拡充に力を注ぐ。永井社長は「協働ロボットは作業内容や設置場所を柔軟に変えられるため、カバーも現場の環境や用途に合わせて柔軟に着せ替えられるようにしたい」と述べる。まずは同社が正規代理店を務める台湾のテックマンロボットの「TMシリーズ」用の標準品を用意した。デンマークのユニバーサルロボットやファナックの「CRXシリーズ」用の標準品なども、近いうちにラインアップする計画だ。

 この他、コントロールボックスやロボットハンドなど周辺機器用のカバーや、ビジョンセンサー用のフィルターも新たに開発した。永井社長は「総合力を生かし、ロボットの周辺領域も含め全てのカバーの需要に応えたい」と語る。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)



※この記事の再編集版は、設備財や工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)の専門誌「月刊生産財マーケティング」2021年5月号でもお読みいただけます。

TOP