[iREX2025レポートvol.3]ロボットハンドも着々と進化
「2025国際ロボット展(iREX2025)」では、人工知能(AI)を活用した産業用ロボットやヒト型のヒューマノイドロボットが脚光を浴びた。それらの技術を実作業に落とし込むには、対象物(ワーク)に直接触れるロボットハンドの進化も欠かせない。そこで、トラックの荷降ろしを自動化する電動吸着ハンドから、繊細さと力強さを兼ね備えたグリッパー、5本指タイプまで、会場で注目を集めたロボットハンドをまとめた。
電動吸着で新コンセプト打ち出す
真空機器メーカーのコンバムは新しいロボット活用のコンセプトと共に、「e-パレッチャー SGPシリーズ」を参考出展した。
荷役台(パレット)などへの荷積みや荷降ろし作業を得意とする。電動で駆動する吸着ハンドのため、圧縮エアがない場所でも電源のみで使える。
同社はこの新製品と協働ロボットを組み合わせて、箱型トラックに天つりで搭載するコンセプトを打ち出した。トラックへの荷上げや荷降ろしを自動化する。
これまでは、倉庫の荷降ろし場などトラックの外部から内部へと移動して荷降ろしをする「デバンニングロボット」などの提案が目立った。これに対し、トラック側にロボットを搭載する提案は珍しい。
佐藤穣社長は「トラック搭載型クレーンで荷上げや荷降ろしする姿はよく目にする。あのような感覚でロボットを使う発想。今回展で初披露したが、興味を持つ人は多かった」と手応えを口にする。
減圧しないタイミングがあっても吸着し続ける
ドイツに本社を置く真空機器メーカーのシュマルツ(日本法人=横浜市都筑区、小野雅史社長)は新製品の「真空グリッパー FA-X/FA-M」をアピールした。
吸着ハンドはワークとパッドの間を負圧にして把持する。新製品ではその負圧を測定して制御することで、適切な把持力を保ちながら使用する圧縮エアを削減できる。
例えば、負圧が30kPa(キロパスカル)を下回りそうになったら減圧するなどの形で制御する。使用環境によっても異なるが、圧縮エアの消費量を最大で80%削減できるという。
また、従来品よりもねじなどの部品を減らし、メンテナンスをしやすい構造を取り入れた。
担当者は「従来品よりも省エネルギー性とメンテナンス性を高めた新製品」とアピールする。
ハンドメーカーならではの交換装置
スウェーデンに本社を置く真空機器メーカー、ピアブの日本法人ピアブ・ジャパン(東京都葛飾区、吉江和幸社長)は「協働ロボットハンド用ツールチェンジャーシステム」を展示した。
会場では吸着力を生み出すエジェクター「piCOBOT L(ピコボットL)」をベースにその先端の吸着パッドを交換することで、異なるワークを持ち上げた。
一般的にはエンドエフェクターの根元から取り替える交換装置が多い中、同社のエンドエフェクターの先端だけを取り替える提案に来場者は見入っていた。
エジェクターの代わりに電動ポンプを使えるなど、吸着力の発生装置とパッドなどの先端部分の組み合わせを幅広く選べるという。
担当者は「先端のみ搭載するので、交換装置側のサイズを小さくできる。協働ロボットは人に近く、十分なスペースがない場所で使われることも多いため、小型な周辺機器を求めるユーザーは多い」と話す。
特注ハンドからSI全体に格上げ
真空機器メーカーの日本ピスコ(長野県岡谷市、河西利行社長)は小箱の自動製函(かん)システムを展示した。
吸着ハンドをベースにジグ(補助具)などを駆使して、小箱を組み立てる。その後、ワークを箱に入れて、ふたをするまでを自動化した。
同社は2023年から、顧客の要望に合わせてロボットハンドを設計し、一体のユニットにして提供する「ロボットハンドユニット設計サービス」を開始した。しかし、ロボットハンドだけでは自動化できない案件も多く、ロボットや周辺機器も合わせて組み合わせるシステムが多かった。
そこで、同サービスを担当した「ロボットハンドソリューションチーム」を、システムインテグレーション(SI)までを手掛ける「SIソリューション課」に発展させた。
同課の小宮裕課長代理は「わが社に依頼すれば、ロボットハンドだけでなくシステム構築まで済ませられる。吸着ハンドを細部まで知るメーカーならではの提案をしていきたい」と意気込む。

