[iREX2025リポートvol.13] 使いやすさ×低価格で攻める中国メーカー
「2025国際ロボット展(iREX2025)」では、中国メーカーの出展の多さが目立った。展示から浮かび上がったキーワードは「使いやすさ」と「価格の安さ」だ。協働ロボットを中核に、周辺機器やソフトウエアまでを一体化したパッケージシステムを前面に打ち出し、使いやすさと価格の安さを武器に、設備投資に慎重な日本のユーザーを取り込もうとの姿勢が鮮明だった。
(山中寛貴:ロボットダイジェスト編集部)
中国メーカーが数多く出展
会場では中国の上海や深センを拠点とする中国メーカーの出展の多さが目立った。中国のロボット産業が集積する地域では企業単独での技術開発にとどまらず、研究開発から実証実験、製品化までを一体で進めるエコシステムを形成しており、その成果は今回展で色濃く表れていた。
中国メーカーの展示から浮かび上がったキーワードは「使いやすさ」と「価格の安さ」だ。ロボット単体だけでなく、導入後すぐに活用できるよう周辺機器やソフトをパッケージシステムとして提案した。ある中国の業界関係者は「技術進化の速い今の時代では、現場ですぐに使えない製品では、ユーザーが使い慣れた頃には、次世代のロボットが登場してしまう」と語る。こうした課題に応えられる製品開発の土壌が中国には整っている。さらに、エコシステムの形成によって部品の調達や開発コストを抑えられるため、価格も安く提供できる。中国メーカーは設備投資に慎重な姿勢が続く日本のユーザーに対し、使いやすさと価格の安さを前面に押し出すことで、その姿勢を打ち破ろうとしている。今回展は、そうした中国メーカーの戦略を示す舞台となった。
中国の上海に本社を構える協働ロボットメーカーElite Robots(エリートロボット)の日本法人Elite Robot Japan(エリート・ロボット・ジャパン、名古屋市中区、曹宇男社長)はパレタイジングソリューション「CPシリーズ」をはじめとする4つのシステムを展示した。
CPシリーズはロボットハンドやコラム(ロボットを支える柱)、ソフトなどがセットになったパッケージシステムで、同社のロボットアーム「CSシリーズ」と組み合わせて使用する。段ボール箱を荷役台(パレット)に積み上げる「パレタイジング」や荷物を降ろす「デパレタイジング」の作業を自動化する。固定式コラムの「CPF10」と伸縮式コラム「CPL07」の2種類をラインアップし、CPL07は最大2600mmの高さまでスタッキング(積み重ね)が可能だ。いずれも最大可搬質量は30kg、1分間に最大20箱の高速パレタイジングを実現する。
松井重憲カントリーマネージャーは「独自開発のソフトを内蔵しており、プログラミングの知識がなくても、誰でも簡単にセットアップができる。また、積み付けパターンなども容易に変更できる」と導入のしやすさと操作性の高さを強調する。
中国の産業用ロボット大手の瀋陽新松機器人自動化(新松)が今回展の目玉としたのが、自社の協働ロボットブランド「DUCO(デュコ)」の6軸タイプ「Gシリーズ」と、中国のファイバーレーザー溶接機メーカーGW LASER TECH(GWレーザーテック)のファイバーレーザー溶接機「GWレーザーテック」などをパッケージ化した溶接ロボットシステムだ。GWレーザーテックは冷却水の循環装置が不要な空冷式を採用し、システム全体の軽量・コンパクト化を実現。設置スペースの削減に貢献する。
また、多様なビーム形状を出力可能な専用トーチを搭載している他、ティーチング(教示)用のジョイスティックも用意。細かな位置調整が可能なため、従来のダイレクトティーチングでは難しかったピンポイントの焼き入れが可能だ。
説明員は「溶接現場では熟練職人の高齢化などで人手不足が進んでいる。同システムを導入することで、作業者の熟練度に左右されないファイバーレーザー溶接が可能となり、人手不足解消に貢献できる」と話す。
輸入商社の進和(東京都北区、倪昌浩社長)は中国のJAKAロボティクスの協働ロボットを使い、多彩なアプリケーション(応用事例)をPRした。注目を集めたのが、今回展で初披露となった、可搬質量50kgの自律搬送ロボット(AMR)に昇降機構とロボットアームを搭載したロボットシステム「JAKA Lumi(ルミ)」だ。
同システムのロボットアームは、最大アーム長が580mmで、可搬質量が2kg。さらに首部が180度回転する構造を採用し、体の向きを変えずに頭部に搭載した3Dカメラで対象物を認識できる。そのため、狭い空間でも高い作業性を発揮する。主な用途としては、物流倉庫での商品のピッキングや補充の他、組み立て工程でのボタン押しなどを想定する。
内田文竹取締役は「同システムは定価が250万円と、可搬質量50kgクラスの他社製品と比べると価格が圧倒的に安い。これまでコスト面で自動化に踏み切れなかった企業も、この価格帯なら導入しやすいはずだ」と語った。
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