[iREX2025レポートvol.7]新興勢も独自技術で存在感示す
「2025国際ロボット展(iREX2025)」では大手ロボットメーカー以外にも、ここ10年ほどでロボット事業に参入した企業やスタートアップ企業が多数出展した。独自の動作軸を持つロボットや音声でティーチング(教示)できるロボットなど、ユニークな製品提案で存在感を示した。
狭いスペースでも使える/ローレルバンクマシン
通貨処理機の大手メーカー、ローレルバンクマシン(東京都港区、池辺正社長)は昨年11月に発売した8軸多関節ロボットの「xLobomo(クロスロボモ)」を展示した。社内にロボット開発の専門部署を立ち上げ、約3年前から製品リリースに向けて開発を進めてきた。
クロスロボモは従来の6軸垂直多関節ロボットにX状に交わる2つの直動軸を追加した独自構造を持つ。直動軸の採用によりロボットの足元にある対象物(ワーク)を把持できるため、狭い設置面積で広い作業範囲をカバーできる。6軸では難しかった作業や設置スペースが限られた製造現場での適用を想定する。
メカトロニクス事業部の中西秀行事業部長は「従来の垂直多関節ロボットには構造上、特異点(制御できなくなる姿勢)があった。クロスロボモは直動軸を含む8軸構造で特異点を回避しやすい」と説明する。
音声や視覚情報でティーチング/NEURA ROBOTICS
ドイツのロボットベンチャーNEURA ROBOTICS(ニウラロボティクス)は人工知能(AI)技術を搭載した協働ロボットや自律走行型搬送ロボット(AMR)、ヒューマノイド(ヒト型)ロボット「4NE1」、人の接近のみを検知する独自技術を搭載した3次元人物検知センサー「Omnisensor(オムニセンサー)」など幅広い製品を展示した。
ひときわ注目を集めたのは音声で指示するだけでワークを正確にピッキングするデモだ。ロボットに搭載したカメラで人がピッキングする様子を撮影し、視覚情報でロボットをティーチングすることもできる。
正規代理店を務める日栄機工(豊田市竜神町、伴伸二社長)の担当者は「ニウラロボティクスのロボットを導入すればティーチングのハードルを限りなく下げられる」と力を込める。
樹脂製アームで高速動作を実現/豆蔵
ITコンサルティングやロボットの導入支援を手掛ける豆蔵は、総合化学メーカーの三井化学と共同開発した中食工場向けの盛り付けロボット「美膳(びぜん)」を初公開して注目を集めた。
美膳は樹脂製の双腕アームやカメラ、キャスター付きの架台などで構成される。工具なしでロボットハンドの交換が可能な他、付属のタッチパネルで直感的に設定を変更できる。1時間に複数回の品種切り替えが発生する中食工場で、多品種生産に柔軟に対応できるのが最大の特徴だ。ブースでは食品用の樹脂製コンテナから材料をピッキングし、コンベヤーを流れるトレーに盛り付けるデモを披露した。
担当者は「両社とも製造現場の人手不足を背景に、約10年前からロボット事業に本腰を入れ始めた。美膳はロボットアームを樹脂で軽量化して動作スピードを速めた。従来の金属製ロボットだと1時間当たり約1200食の生産能力だったが、美膳は人と同等の約2000食を実現する」と力を込める。