2026.01.20
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[iREX2025展示リポートvol.5]ユニークな協働ロボットなど新たな製品やアプリケーションが続々

「iREX2025展示リポートvol.1」でも大手ロボットメーカーの一部の展示を紹介したが、その他にも注目を集めた展示は多かった。ロボットメーカーは幅広いアプリケーション(ロボットの使い方)を提案するため多数のシステムを展示するが、今回の国際ロボット展(iREX)では特に新型の協働ロボットの展示などが目立った。ここでは東日本のロボットメーカーを中心に紹介する。

(曽根勇也:ロボットダイジェスト編集デスク

AIやメンテナンスレスなど提案

注目を集めたファナックのAI関連の展示

 今回の国際ロボット展で最大級の注目を集めた企業の一つがファナックだろう。日々進化する人工知能(AI)技術をロボットに取り入れやすいよう、今回展に合わせてオープンソースのロボット開発プラットフォーム「ROS(ロス) 2」向けの専用ドライバーを公開した。プログラムコードの共有で広く使われているウェブサービス「GitHub(ギットハブ)」から入手できる。ROS2ベースで開発されたAI機能をファナックのロボット制御に取り込める。また、AI用の演算装置やプラットフォームで最大手の米国NVIDIA(エヌビディア)との協業も発表した。

 その他、ベストセラーの大型ロボット「R-2000シリーズ」をフルモデルチェンジ。従来は関節の角度変化を検出するエンコーダーのバッテリーや関節部のグリス、ケーブルを定期的に交換する必要があったが、これらを交換不要にすることでメンテナンスフリーを実現した。

 協働ロボットでは同社ラインアップの中で最小の3kg可搬の「CRX-3iA」を発表した。本体質量は11kgで、「持ち運べるポータブル協働ロボット」として提案する。造船や建設分野の巨大な構造物の溶接に適しており、作業場所に持っていき作業をさせる新しいコンセプトの協働ロボットだ。

 「今回展では非常に大きな手応えを感じた。使命感を持って取り組むわが社の開発陣のパワーを感じてもらえたと思う」とロボット研究開発統括本部長の安部健一郎常務執行役員は話す。

ベストセラーの大型ロボットR-2000シリーズ全体を一気にフルモデルチェンジ
持ち運びができ、マグネットベースなどで固定すればすぐに使える協働ロボット

独自の特徴を持つ協働ロボットが増加

「社内では既にいくつもの活用実績がある製品」と話すヤマハ発動機の小林一裕ロボティクス事業部長

 前回展や前々回展に引き続き、他社ブースでも協働ロボットの展示は多く、ユニークな特徴を持つ新型協働ロボットの展示が目立った。
 ヤマハ発動機は協働ロボット「Yamaha Motor Cobot(ヤマハ・モーター・コボット)」を目玉の一つとして展示した。7軸制御のため一般的な6軸制御の機種よりも複雑な動きが可能で、1300mmの長いアームでありながら狭い場所でも周囲との干渉(接触)を避けて動作できる。会場でもこうした特徴を生かし、小さなスペースでのキッティング(工場での部品配膳前に必要部品をそろえる作業)の自動化システムなどを提案した。
 「社内では既にいくつもの活用実績がある製品。DC(直流)48V電源で駆動するので搬送ロボットに搭載しても使いやすい」と小林一裕ロボティクス事業部長は自信を見せる。

「現場でどのように使えるのかを伝えたい」と話す不二越の河越克己企画部長

 不二越は独自開発の新型協働ロボット 「MZSシリーズ」を広いブースの全面でアピールした。人などと接触してから停止するのではなく、接触前に停止する機能を持つロボットだ。接触して緊急停止した場合と異なり、接触前の停止であれば再起動の必要なく動作を再開できる。
 「製品単体ではなく、さまざまなデモシステムを通して現場でどのように使えるのかを見せたかった」とロボット事業部の河越克己企画部長は話す。例えば高密度に配置した同機種でロボットを組み立てるデモシステムを展示。ロボット同士が干渉せずスムーズに作業できることを紹介した。

独自のシステム提案で差別化

芝浦機械がシステム構築まで担う食品向けのロボットシステム

 協働ロボット以外にもロボットメーカーはさまざまなシステムを展示し、来場者に提案した。
 芝浦機械は双腕協働ロボット「RIDRSシリーズ」で段ボール箱の組み立てから箱詰めまでを自動化するシステムを構築したが、その他スカラロボットを使った食品向けのシステムなども提案した。これは番重(弁当などを運ぶための樹脂容器)に弁当を入れて段積みして搬送するシステムで、「『段積みや段ばらしの技術は製造業にも応用できそう』との声をいただいた」と勝又和浩制御システム営業課長は話す。同システムはシステム構築まで同社が担当する。

セイコーエプソンは独自開発の分光ビジョンシステムとロボットの組み合わせを提案

 セイコーエプソンはロボットと独自の分光ビジョンシステムの組み合わせをアピールした。
 分光ビジョンは光を波長ごとに分解してデータ化できるシステムで、自動車メーカーのSUBARUの協力のもと自動車部品の塗装の検査を実演した。見る角度や光の当て方次第で見え方が変わるメタリック塗装を自動検査する様子に多くの来場者が見入った。

ベッコフオートメーションはモジュール式のユニークなロボットをアピール

 横浜市に日本法人を置くドイツのベッコフオートメーション(日本法人=横浜市西区、川野俊充社長)も会場にブースを構えた。
 同社は制御機器メーカーだが、ユニークなモジュール(組み換え可能なユニット)式のロボット「ATRO(アトロ)」も開発する。土台や関節、リンク(関節間をつなぐ部分)のモジュールを自在に組み合わせ、最適なロボットを構築できる。減速機は日本製で、今年半ば頃には量産モデルを発売予定だ。

スライダーを自然言語で操作するベッコフオートメーションの川野俊充社長

 その他同社は、「TwinCAT CoAgent for Operations(ツインキャット・コエージェント・フォー・オペレーションズ)」も紹介した。ツインキャットは産業用パソコンで各種設備の制御ができるソフトウエアプラットフォームで、コエージェントでは自然言語を理解するAIが人を支援する。ブースでは、スライドを制御する簡単なデモシステムを展示。マイクを通して人が「この軸をここまで移動させて」と指示してスライドを動かしたり、「エラーが出たけど、どこに問題があるの?」と問いかけてAIに返答させるなど、さまざまなデモを披露した。
 「ロボットや工作機械、搬送装置など、さまざまな機器に応用できる可能性がある」と川野社長は語る。

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