2022.06.23
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[特集 ロボットテクノロジージャパンvol.4]地元の雄とベンチャーは、何を見せる?/デンソーウェーブ、Mujin

2つのFA向けシステムを

「中部地方の方々に4年の進化を見せたい」と、Mujinの出展責任者の松本圭太さん

 Mujinは、教示プログラムなしで自律して動作できる知能ロボットシステムを提供する。判断のプロセスが不明瞭にならない、機械向けの高度な知能「機械知能(MI)」技術が、その核となっている。ロボット業界で注目を浴びる同社も、RTJ2022に出展する。  同社が中部地方の展示会に出展するのは、4年ぶり。松本さんは「FA向けのシステムは、この4年間で大きく進化した。製造業の盛んな中部地方の方々に、いち早く披露したい」と話す。会場ではFA向けのシステムを2つ展示する。

1サイクル7.5秒を、4.5秒に

動作速度が大幅に進化した「PickWorker(ピックワーカー)パッケージ」

 1つは、「PickWorker(ピックワーカー)パッケージ ~3DピッキングMujin標準セル~」だ。容器内に無造作に置かれたワークを取り出す「ばら積みピッキング」を簡単に実現する。  4年前と比較して、動作速度が大幅に進化した。同じワークを使った場合、以前は1サイクル7.5秒だったのを、4.5秒に短縮した。  認識性能に優れ、耐久性の高い3Dカメラ「Mujinビジョン」や、これまでの経験から使い勝手を追求した「Mujinハンド」を開発。同社独自の制御技術と組み合わせて、ロボットの教示作業なしで、高速なばら積みピッキングを実現する。  「1秒を争い、作業の改善や工夫を重ねる金属加工の現場にも、自信を持って提案できる」と松本さんは胸を張る。

異業種のノウハウも生かす

「複数品種ディスクローター ハンドカメラ バラ積み整列ロボット」のイメージ図

 もう1つはビジョンシステムと産業用ロボット、無人搬送車(AGV)を組み合わせた「複数品種ディスクローター ハンドカメラ バラ積み整列ロボット」だ。  まず、複数種のワークが無造作に置かれた搬送容器から、ワークの種類を判別する。それを取り出して、種類別にジグに整列させる。そしてAGVが、それぞれのワークを次工程へと搬送する。  このシステムでは、3Dカメラを使ったロボット1台で複数の加工機や工程にワークを供給できるため、費用対効果の向上も期待できる。同社は物流現場での実績も多く、産業用ロボットとAGVを同期制御する技術を培っており、一括で請け負うことができることも顧客からの評価は高い。  松本さんは「今後は変種変量生産が主流で、『ライン生産』から『セル生産』への転換が進む。展示会に合わせて、中部地方でのサポート体制も強化する。製造業の来場者と、積極的に意見交換をしたい」と話す。

(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史、西塚将喜)

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