生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2022.06.21

インタビュー

[特集 ロボットテクノロジージャパンvol.3①]簡単なロボットあります まずは触ってみませんか?/ファナック 稲葉清典 専務執行役員

「ROBOT TECHNOLOGY JAPAN(ロボットテクノロジージャパン、以下RTJ)2022」に最大級の70小間で出展するファナック(B-37)。中部圏で開かれるロボット展示会にこれほど大規模に出展するのは今回が初めてだ。ラインアップを大幅に拡充した協働ロボットをはじめとして、さまざまなソリューションを提案する。ロボット事業本部長の稲葉清典専務執行役員は「初めてロボットに触る方でも簡単に使えるロボットがあると知ってほしい」と話す。

自動化の位置付けが変わった

――足元の景況感はいかがですか?
 自動化の需要は急速に伸びています。従来は品質の安定や生産性向上によるコスト削減などが自動化の主目的でしたが、「事業継続に不可欠な物」として導入の相談を頂くことが増えています。熟練技能者の不足を補う、感染症対策として人の密集を防ぐなど、導入の目的が変わり、自動化の位置づけが変わったと感じています。

――ロボットの生産台数も増えています。
 月産能力が2012年からは5000台でしたが、今では1万1000台です。これも上限に近付き、生産能力の増強が必要となっています。建屋は増築せず生産性を向上し、対応していきます。

――生産能力を増強しているのですね
 それでも数年内には厳しくなるため、さらなる拡張も検討しなければなりませんね。自動化への投資は一過性のブームではありません。慢性的な人手不足で、ロボットは持続可能な製造現場に欠かせないものになりつつあり、その社会的責任の重みを感じます。

――ロボットの使われ方に変化は?
 「人が主体の製造現場」に対してのロボットの導入が急増しています。既存の設備を生かしながら、人と同じ空間で、人が作業する工程に後付けでロボットを導入し、作業の一部を代替する使い方です。そのような現場ではロボットに馴染みのない方も多く、使いやすさが重要視されていることも感じます。

高まる協働ロボットへの関心

ファナックの協働ロボットのラインアップ。白い方がCRXシリーズ

――人が主体の領域に導入する。つまり協働ロボットへの関心が高まっていると?
 安全柵なしで使える協働ロボットへの関心は非常に高いと思います。ファナックは、3月の国際ロボット展で協働ロボット「CRXシリーズ」のラインアップの大幅拡充を発表しました。可搬質量5kg~25kgまでをカバーします。6月30日から開かれるRTJでも、CRXシリーズは展示の大きな目玉です。展示の半数以上がCRXのシステムです。

――協働ロボットでは、CRシリーズとCRXシリーズを展開しています。
 CRシリーズは従来からの産業用ロボットを使い慣れた方にとって使いやすい商品です。一方、CRXシリーズは、ロボットを使ったことがない方でも扱いやすいよう開発しました。「協働ロボットに興味はあるけど、難しいのでは?」と二の足を踏む現場の方は多いと思います。そういった方々に「簡単なロボット、あります!」と伝えられればと思います。

――どんなところが使いやすいですか?
 タッチパネル上でアイコンを並び替えるだけのビジュアルプログラミングや、音声操作にも対応します。また、アームを直接手で動かして動作を覚えさせるダイレクトティーチングをよりしやすくするなど、常に機能強化を図っています。また、新機能をファナックのウエブサイトから逐次ダウンロードして使用できるのも特徴です。

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