2026.09.01
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[エディターズノートvol.30]ピペドからの解放


 読者諸氏は「ピペド」という言葉をご存知だろうか。

右手にピペットを持つ、フリー素材集いらすとやの「研究・科学実験のイラスト」

 「ピペット奴隷」を略したもので、バイオテクノロジーなどを学ぶ大学院生や若手研究者が、自身の境遇を自虐的に言う際に使う言葉らしい。 
 ピペット(液状の試験サンプルや試薬などを扱う器具)での単調な実験準備作業を毎日朝から深夜まで繰り返すことを奴隷労働に例えたものだ。

 近年、若手研究者をピペドから解放するためのロボットシステムの提案が増えている。

東京科学大学が導入したライフサイエンス研究向けロボット「まほろ」

 4月に公開した記事「双腕ロボットで実験を自動化、ロボット未来創造センターを開設/東京科学大学」はその代表例だ。
 その他、粉末で実験するため厳密にはピペドではないが7月末に公開した「信州大学内に『ロボラボ』を設立、産学連携で『新材料の作り方を作る』」も、研究者の単純作業をロボットに置き換えることを目的とする。

昨年の「JASIS2025」でのデンソーウェーブの展示

 毎年9月に(今年は明日9月2日から)開催される分析機器の展示会「JASIS」でも、例年デンソーウェーブ(愛知県阿久比町、相良隆義社長)などが研究作業向けのロボットシステムを提案している(関連記事はこちらから)。

 優秀な頭脳を持つ研究者が単純作業に忙殺されるのはどう考えてももったいない。また、「ピペドになりたくないから、バイオ分野には進まない」という学生もいるという。使う器具がピペットではないとしても、同様に実験準備に忙殺される研究分野は他にもあるだろう。

 文部科学省では今年度から、人工知能(AI)を活用した研究の高度化・加速化を支援する新事業「SPReAD(スプレッド)1000」を実施しており、その助成対象には「ロボットアーム等の設備費」も明記されている。しかしロボットに特化したものではなく、また応募が多く採択率は非常に低いのが現状だ。

 ロボットで「日本の研究機関の能力」が底上げされれば、日本の科学技術力が高まり日本の国益にもつながる。「科学技術力の向上」というと長期間にわたる膨大な予算が必要なイメージだが、ロボットの導入は現実的な予算で実行できる実現可能な方策だ。AI技術の発展で、ロボット技術者でなくてもロボットを扱いやすい環境も整ってきた。 
 今後大学や研究機関へのロボット導入の助成が拡充され、ロボットがこれからの“日本の科学技術力の礎”となることを期待したい。

曽根勇也ロボットダイジェスト編集デスク

担当記者からのおすすめ!
〇ラボラトリーオートメーションをモジュール型システムで提案/デンソーウェーブ
〇ラボラトリーオートメーションで日本でも協業/ABB、メトラー・トレド
〇[特別企画ラボラトリーオートメーションvol.1]研究所にロボットは普及するか?


※「エディターズノート」は毎月最初の営業日に掲載しています。

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