2026.08.24
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[ロボットが活躍する現場vol.62]停止を恐れず自動化を磨く/和歌山アイコム

和歌山アイコム(和歌山県有田川町、田中誠一郎社長)は、垂直多関節ロボットや専用機を活用し、主力の業務用携帯無線機の組み立てから検査までの大部分を自動化した。これまでに自動化設備へ約8億円を投じ、作業のばらつき低減や省人化を進めてきた。システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)との二人三脚による設備構築や、停止を恐れず改善を重ねる独自の生産思想で、自動化を磨き続ける。

斉藤拓哉:ロボットダイジェスト編集部)

丸投げはしない

和歌山アイコム有田工場

 和歌山アイコムは大手無線機メーカーであるアイコムの製造子会社だ。和歌山県有田川町にある有田工場と同県紀の川市にある紀の川工場の2拠点でアイコム製品を生産する。両工場に自動化設備を導入しており、特に有田工場では自動化を積極的に進めている。両工場に自動化設備を導入するため、これまでに約8億円を投じた。

自動化した組み立て生産ライン。基板のはんだ付けや外装の取り付け、ねじ締めを自動化した

 とりわけ大規模なのが、工事現場やホテル、商業施設などで使われる業務用携帯無線機の組み立てラインだ。同製品はアイコム製品の中で売上高に占める割合が最も高く、生産量が最も多い。組み立てラインでは基板のはんだ付けや外装の取り付け、ねじ締めといった一連の組み立て工程を垂直多関節ロボットや専用機などで自動化した。

 また、組み立てた無線機をシールドボックス(無線機の検査に使う設備)に運び、電波の感度などを検査する組み立ての後工程も自動化した。自動組み立てラインにおいて人が介在するのは部品の詰め替えと検査後の無線機本体を運ぶ作業だけだ。

 ロボットの活用によって作業のばらつきを抑制し、安定稼働を実現するための工夫も随所に施した。例えば、全ての基板の同じ位置にロボットが把持するための穴を設け、把持する箇所がずれないようにした。「自動化ありきで部品の設計を変更したこともある。設計の部署も自動化に対して非常に協力的だからこそ安定稼働を実現できた」と田中社長は話す。

 自動化した組み立て生産ラインは2本あり、1本目は2019年に、2本目は20年に立ち上げた。2本目には、1本目の運用で得た知見を反映した。1本目の生産ラインでは双腕ロボットがねじ締めを担っていたが、2本目ではタクトタイムを短縮するため、動作がよりシンプルな単軸ロボットにした。

 使用するねじが小さいこともあり、自動化で最も苦戦した箇所がねじ締めだった。「ねじ締めは手先の感覚も使う作業で、試しに手作業をそのままロボットに置き換えたら、ねじ穴をつぶしてしまった。ロボットと手作業とのギャップをすり合わせるのに苦労した」と田中社長は明かす。

 自動化システムを構築する上では、SIerと二人三脚の体制を築くことを重視する。特に無線機の組み立て分野は、箱のパレタイズのような汎用性の高い自動化システムと違い、専門知識が求められる。「無線機は特殊性が高い分野のため、SIerに丸投げをしないよう心掛けた。無線機特有の知識やノウハウが必要な部分については、当社から知識やアイデアを提供し、すり合わせを綿密に行った」と語る。

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