[直前特集RTJ2026 vol.3] 「新しいものづくり」を社会実装/安川電機
安川電機(D39)は人工知能(AI)も含めたデジタル技術とロボット技術を組み合わせたAIロボティクスを積極的に提案する。ロボットに判断力を付与して自律性を持たせることで、高度な変種変量生産などを実現する。「人手不足などの社会課題を解決したい。そのためにもまずは泥くさくAIロボティクスによる『新しいものづくり』の社会実装を進める」と岡久学上席執行役員ロボット事業部長は話す。
新たな価値をリアルな“かたち”に
――まずはロボットテクノロジージャパン(RTJ)2026での御社の展示コンセプトを教えてください。
テーマは「i³-Mechatronics(アイキューブメカトロニクス)で新たな価値をリアルな“かたち”に」です。人手不足はもちろんのこと、熟練者から技能を引き継ぐ継承者の不足、大量生産から変種変量生産への転換など、ロボットに直接関係するものだけでもさまざまな課題があります。それら課題の解決につながるソリューションを展示したいと考えています。
――具体的にはどのようなシステムを展示予定ですか。
メインの一つは、AI対応の自律ロボット「MOTOMAN-NEXT(モートマンネクスト)」を複数台使った、自律的に変種変量生産が可能なシステムです。ロボットが自動で紙パイプ製の椅子を組み立てます。椅子の脚の長さには複数の仕様があるのですが、生産指示データに基づいてロボットが自動で最適な部材を選び、その部材に適した組み立て動作を行います。
――製造する製品に合わせて人がいろいろと設定を変える必要はないのですね。
その通り。少量多品種生産や変種変量生産を自動化する場合、細かい仕様の違いごとにロボットの動作プログラムなどを作成し、切り替えのたびに人が設定の変更などをすると手間がかかります。「それなら自動化せずに人がやった方が早い」と自動化してこなかった現場もあるでしょう。しかしこのようなシステムなら「この仕様の製品を作ってください」と指示だけすれば、そこから先はデータを基軸に仮想空間で動作を作成し作業を完遂してくれます。国際ロボット展(iREX)の会場で展示したシステムをベースに、少しコンパクトにしたもので、そのコンセプトを継承したシステムを中部圏の方々にも見ていただきたいです。
自動車向けの初披露の展示も
――RTJで初披露のシステムはありますか。
中部地方は自動車産業が盛んですから、自動車を意識した展示を初披露します。提案するのは自動車ドアのスポット溶接です。通常は生産するドアの種類に合わせてジグ(補助具)を事前にセットし、特定のドアだけを繰り返し生産します。生産するドアの種類を変更する場合は、ジグ交換などの段取り替えをしてからまた次の一種類だけを繰り返し生産します。これに対しわれわれが提案するのは、より柔軟に複数品種のドアを生産できるシステムです。
――どのようなシステム構成ですか。
複数の自律搬送ロボット(AMR)にそれぞれジグを取り付け、溶接するドアパネルや部品をセットしておきます。あとは生産指示をするだけで、製造したい車種のドア部品を載せたAMRが溶接ロボットの所に行き、ロボットがその車種に合わせた動作でスポット溶接作業を行います。1個流しが可能で、ファストフード店のドライブスルーをイメージしてもらえれば分かりやすいと思います。もちろんファストフード店と違ってお客さまがその場で注文するわけではありませんが、生産指示した製品が次々に一つの製造ラインから出てくるわけです。
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