[特集2025国際ロボット展vol.3]AIがロボ導入や運用を容易に/安川電機
ロボットの導入や運用が難しいと思わせる要因の一つが、ユーザーに求められるエンジニアリング能力だ。安川電機はロボットを導入しやすく、使いやすくするために「エンジニアリングレス」を掲げる。2025国際ロボット展(iREX2025)では、自律ロボット「MOTOMANNEXT(モートマンネクスト)」などのロボットと人工知能(AI)、ソフトウエアなどを組み合わせて、ロボットが自ら考え作業を完結させるデモンストレーションを展示する。
エンジニアリングレスの実現へ
安川電機は、製品の設計情報に基づいてロボットの動作プログラムを自動生成し、トラブルが起きても自ら考えて修正して再トライし、作業を完結させるロボットシステムの実現を目指す。これで、製品の変更の度にプログラムを組み直したり、トラブルの度に調整したり修正する必要がなくなり、エンジニアリングレスなロボットシステムの実現に近づく。
同社が標ぼうする最先端のロボットシステムをじっくり見ることができる場がiREXだ。同展で最も注目を集める出展者の1社で、過去に開催された同展でも、示唆に富むコンセプチュアルなメイン展示に加え、物流や溶接などのアプリケーションを数多く展示してきた。
進化したメイン展示に注目
iREX2025では「i3-Mechatronics(アイキューブ・メカトロニクス)による新たな価値のリアルなカタチ」を全体テーマに、多くのロボットシステムを展示する。モートマンネクストがさまざまな形で組み込まれ、本格的にアプリケーション開発に活用されている。
何はともあれ、まず注目したいのがメイン展示だ。iREX2023では、電気自動車のバッテリーケースを模したワークを、デジタルツインなどを活用して変種変量生産するデモを披露した。今回展では、AIを組み込むことでさらに進化した姿を来場者に提示する。ロボット事業部事業企画部の難波太郎部長は「メイン展示には3つのこだわりを込めた」と語る。
1つ目は、変種変量生産の進化。「従来、変種変量生産のやり方はどうしても複雑だった。製品の設計情報や電子作業手順書から、ロボットの動作プログラムを自動生成する」と難波部長。目指すのは、エンジニアリングレスで使いやすいロボットシステムだ。
2つ目は、作業を完結させること。今回展のデモはワークを「つなぐ」「(ねじを)しめる」といった組み立て作業を含んでおり、従来のデモに比べ難易度が高まっている。そのため、組み立てに失敗する可能性を完全につぶすことができず、失敗を予期することもできない。既存のロボットシステムはこうしたトラブルに対し、人が解決することを前提にしていた。今回のデモでは、ロボットが自身の状態を正確に認識し、自動的にリトライする。ロボットが自ら考えてリトライする様子は必見だが、いつ起きるか分からないのが、いかにもリアルの現場事情を反映している。
3つ目は、生産を止めないこと。ロボットの作業をコントロールする上位システムが、状況に応じてロボットの作業を見直す。例えば、あるステーションがトラブルで停止した時、他のステーションに作業を割り振りし直し、生産が停止するのを防ぐ。これにはデジタルツインが大きく寄与する。
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