[気鋭のロボット研究者vol.31]1枚の画像だけで認識【後編】/岐阜大学 佐藤惇哉 助教
実用化を念頭に
撮影環境が変化しにくい場所に
ロボット関連の研究事例もあり、色と深度を読み取る「RGB-Dカメラ」を使ったボルトのばら積みピッキングなどにも挑戦してきた。
「AIだと学習データを何百枚も集める必要があるが、進化計算を生かせばたった1枚のテンプレート画像だけで画像処理に必要なパラメーターを自動出力できる」と佐藤助教は強調する。
RGB-Dカメラで撮影したボルトの画像と1枚のテンプレート画像を照合し、ロボットが最も把持しやすい位置にあるボルトを認識してピッキングする。実験でのピッキング成功率は約90%で、準備が簡単な割には高い認識精度を出せたという。
「進化計算は画像のばらつきの影響を受けるため、AIのように汎用的に使えるわけではない。工場の検査室など、撮影環境が変化しにくい場所で特に力を発揮する」と佐藤助教は語る。
――終わり
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)
佐藤惇哉(さとう・じゅんや)
2012年3月岩手大学工学部情報システム工学科卒業、14年3月同大学院 工学研究科デザイン・メディア工学専攻修士課程修了、17年3月同博士課程修了(学部名や学科名は当時)。同年2月から岐阜大学工学部機械工学科知能機械コース助教、現在に至る。2児の父で、勤務後や休日は育児に奮闘する。岩手県出身。1989年5月生まれの34歳。