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2022.03.30

[国際ロボット展 特別リポートvol.20]自律して動くロボットが主役/安川電機

会期の直前から会期中・会期後まで合計30本の記事を掲載してきた「特集 国際ロボット展」。最後を飾るのは、会場内最大級のブースでさまざまな製品デモを披露した安川電機だ。ロボットを動かすにはティーチング(教示)が必要――。その常識を打破するかのように、会場ではティーチングが不要な次世代ロボットなどを展示した。自律的に動くロボットで、変種変量生産の自動化を提案する。

企業コンセプトを体現する

天井に張り巡らされたオブジェが近未来の雰囲気を演出した

 安川電機のブースのテーマは「i3-Mechatronics(アイキューブメカトロニクス)によるスマートなものづくりの実現」。アイキューブメカトロニクスとは、デジタルデータの活用でより生産性を高める同社のコンセプトだ。その考え方を実現する数多くのロボットシステムを展示した。
 その中でも「MOTOMAN NEXT(モートマンネクスト)シリーズ(仮称)」とデジタルツイン(高度なシミュレーション)を活用したロボットシステムを展示の目玉に据えた。従来の使われ方では、ロボットは大量生産に向くと考えられがちだが、その考えを覆すような展示が目立った。

動作経路を自動で作る

モートマンネクストシリーズを2台展示した

 参考出展したモートマンネクストは「ロボットの常識が変わる!ティーチングプレイバック方式からの脱却」をコンセプトに掲げた。作業手順や作業内容、把持対象物(ワーク)などのデータを送るだけで、自動でシミュレーションして動作経路を生成する。
 ロボット事業部事業企画部の百冨とも子事業企画課課長補佐は「ティーチングなしでワークごとに動作経路を生成するため、変種変量生産に適する」と話す。

 会場ではシーリングを模してワークの輪郭をなぞる動作や、来場者が指定したジュースパックの箱詰め作業を披露した。いずれも各種センサーでワークを検知するため、ランダムに配置されても、ティーチングレスで自律的に作業できる。
 来年度内の発売を目指しており、アプリケーション(応用方法)の開発を担うパートナー企業の参入障壁を下げるために、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース、アプリケーション間で連携するための仕様)を用意する。パートナー企業による多様なアプリ提供を通じて、ロボットの活用の幅を広げる狙いだ。

  • シーリングを模してワークの輪郭をなぞる

  • ジュースパックをセンサーで認識して持ち上げる

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