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2021.07.01

ウェブ展で多数の新製品を発表/ファナック

ファナックは6月14日~25日、ウェブ上で「第30回ファナック新商品発表展示会」を開いた。一昨年までは山梨県忍野村の本社内で開催していたが、新型コロナウイルス禍を受け昨年は中止、今年はウェブ上での開催となった。技術解説動画やウェブセミナーで、既設の工作機械に後付けできるロボットシステムや、プレス加工機向けのロボットなど、多数の新製品、新技術を発表した。

工作機械に簡単後付け

2019年の前回展(=写真)までは本社内で開いていたが、今年はウェブで開催

 ファナックは、産業用ロボットを扱う「ロボット事業」に加え、工作機械向け制御装置などの「FA事業」、工作機械や射出成形機などの「ロボマシン事業」を展開する。

 新商品発表展示会では各分野の最新製品を紹介し、ロボットの新製品も複数発表した。

 工作機械やその制御装置も手掛けるファナックならではの強みを生かしたのが、工作機械に簡単に取り付けられるロボットシステム「QSSR」だ。工作機械への被加工材の付け替えを自動化する。工作機械の制御装置とケーブルでつなげば簡単にセットアップできるロボットシステムだ。

 これまでも新設機に取り付けるタイプは販売していたが、新たに既設の工作機械向けの「QSSR ON-SITE(オンサイト)」を発表した。工作機械を自動化する場合、工作機械側の仕様変更が必要な場合が多い。しかしQSSRオンサイトでは、ドアの開閉やボタン操作もロボットが担当。工作機械側の仕様を変更せずに既設機を自動化できる。

 搭載したのは、安全柵なしで使える協働ロボットの「CRXシリーズ」だ。「ファナックでは従来からの高い信頼性、高い性能に加え、新たに使いやすさも追求している。それを体現するのがCRX。その他の商品でも使いやすさの向上には力を入れている」とロボット事業部長の稲葉清典取締役専務執行役員は言う。

可搬質量や速度がアップ

20kg可搬のスカラロボットを新たにラインアップ

 スカラロボットでは、これまでの可搬質量3kg、6kg、12kgのタイプに加え、重量物も搬送できる20kg可搬の機種を新たにラインアップした。リーチは1100mmと、動作範囲も広い。

 動画では、洗濯用粉末洗剤を8箱同時に持ち上げて箱に入れるデモを披露した。先端の垂直軸(Z軸)のストロークは標準で300mm、オプションで最大で450mmと長いため、深さのある箱にも対応できる。

プレス加工機と組み合わせて使う高速搬送ロボット

 プレス加工機と組み合わせて使うプレス搬送ロボットの新製品も発表した。

 最大可搬質量は100kg。高速化を図り、可搬質量が同等の従来機種では1分当たり10回の加工まで対応できたが、新機種では最大で1分当たり20回まで対応できる。ツールチェンジャーによる先端ユニットの交換も可能。
 「高速搬送だけでなく、ライン構築の自由度アップにも貢献する」(解説動画の説明員)という。

動画は技術情報サイトでも配信予定

各製品の解説動画は、技術情報サイト「ファナック DXCE」でも配信予定

 3次元ビジョンセンサーでは、近距離用の新製品を披露した。遠くから広範囲を見るのではなく、近距離から小さな範囲を精密に認識するためのセンサーだ。0.5mm厚の板状の部品など、薄い対象物を認識できる。
 検出対象を設計データから自動で設定する機能なども追加した。

 その他、スポット溶接やアーク溶接、塗装、パレタイジング(荷役台への積み付け)用のロボットや、パラレルリンクロボット「ゲンコツロボット」などの最新機種も紹介した。

 新商品発表展示会は期間限定での開催だったが、各製品の技術解説動画は引き続き同社の技術情報サイト「ファナックDXCE」でも配信する計画だ。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)




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