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2020.07.02

インタビュー

【特集】[集結! 自動化の最新提案vol.2]バーチャルと現実を連携/安川電機 小川昌寛 取締役常務執行役員

産業用ロボット大手の安川電機。ロボット事業を統括する小川昌寛常務は、昨今の新型コロナウイルス禍で「案件はどんどん積み上がっている。一気に動いたときにきちんと対応できるかが問われる」と言う。今後の製品開発の方向性は「バーチャル(仮想)と現実の連携をいかに現場で実行するか」が鍵と語る。

経済が回り出すと一気に動く

――新型コロナ禍のロボット事業への影響はどの程度ありますか。
 今動いているのは省力化や品質向上のための投資が中心です。プロジェクトはグローバルで計画通り進んでおり、「思ったよりも多い」というのが正直な感想です。ただし、5月以降は案件自体が後ろにずれているように思います。一方、増産向けの投資は動きが少ないです。設備投資はタイミングが重要ですが、「なぜ今その投資をするのか」との問いに誰も明確な回答ができない状況です。

――どんな手を打たれていますか。
 まず、引き合いを受けた案件はタイミングによる実行のずれはあるもののキャンセルにはなっていないと考えています。その前提で、積み上がっていく投資案件の中身を精査しながらきっちり対応できる体制を整えています。状況の分析と理解を深めながら物量を適切に確保するなど対策を取っています。ただ国内案件は比較的そうした情報が入りやすいのですが、欧米はなかなか難しいです。

――今後の市場の動きをどうみますか。
 新規の見込みを含め案件はどんどん積み上がっています。それがどのタイミングで解き放たれるのかが誰にも分かりません。サービスやメンテナンス業務も同様で、お客さまの工場に伺うのもなかなか難しい状況ですから、動きは停滞気味です。しかし、全体経済が動くときは投資案件やサービス案件も一気に動くでしょう。そのとき、機会損失をせず、また既存顧客の期待を裏切らずにきちんと対応できるかが問われています。よって、その動きを見据えた製品の在庫の管理にも細かく気を配っています。

――新型コロナ禍もどこで終息するかが見えません。
 もちろん1年先、2年先までこんな状況が続いていたら、止まっている案件も白紙に戻るかもしれません。しかし、多くの企業がいずれ今回の新型コロナ禍は終息すると見越して準備を進めています。特に、省力化や改善・改良、老朽設備の更新案件は、経済が回り出すと一気に動く可能性が高いとみています。

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