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2018.12.27

連載

[注目製品PickUp!Vol.5]最小、最軽量の持ち運べる6軸ロボット【前編】/安川電機 「MotoMINI」

今回紹介する注目製品は、安川電機の6軸多関節ロボット「MotoMINI(モートミニ)」。よくある産業用ロボットだと思われるかもしれないが、6軸の垂直多関節ロボットとして業界最小、最軽量(同社調べ)が最大の特徴だ。本体の重量は約7kgで、人が簡単に持ち運べるレベル。小さく軽いので、走行装置や周辺機器も小型化でき、密集したレイアウトを採ることができる。2017年6月に発売して以来、メーカーが想定しなかった使い方もされているという。

コンパクトなラインを実現

 北九州市八幡西区の安川電機本社に、見学施設「安川電機みらい館」がある。みらい館では産業用ロボットやサーボモーターといった同社の製品を使って、一般の人でも楽しめる数々の展示をしている。
 その中でも、小さな産業用ロボットがせわしなく動き、素早くミニカーを組み立てる展示は、子どもを含め多くの来場者に人気があるコーナーの一つ。
 ここで使われているのが、業界最小、最軽量(同社調べ)の6軸多関節ロボット「MotoMINI(モートミニ)」だ。

安川電機みらい館でのデモンストレーション

 幅5mもない小さな展示コーナーに、7台がひしめく。ミニカーはプラスチックの部品6点からなるが、うち2点は少し離れたところに置いてあり、単軸の走行装置に乗ったモートミニが取ってくる。軽いので動作も走行も高速で、1台あたり6秒で組み立てられる。

 モートミニの魅力は、この展示のように非常にコンパクトな生産ラインを作れる点にある。ロボット本体の重量は約7kgで、1人で持ち運べる程度。設置面積は191×124mmで、20cm四方のスペースに収まる。この小さなボディーに、複雑な動きを可能にする多数の部品を収めるのは、ちょっと考えただけでも難しそうだ。

ケーブルをはわせるのが難関

「開発にはデザインと信頼性、保守性のバランスが必要」と浪江課長補佐

 モートミニは、13年に同社の開発研究所で開発プロジェクトがスタートし、15年に安川電機みらい館の開館に合わせてプロトタイプを公開した。その後量産化が決定し、量産に向けて改良が加えられた。

 量産化を主導した開発技術部の浪江泰介課長補佐は、「小さなアームの中にケーブルをはわせるのが難関だった」と話す。ケーブルを内蔵する例は自動車のドアにもあるが、「産業用ロボットは屈曲の回数が桁違いに多い。単に収まればいいだけではなく、部品交換のことも考えないといけないので、より一層難しかった」と言う。

 また、どれだけ信頼性の高いケーブルを使っても、長くロボットを使えば劣化は進む。故障した場合、通常のロボットはその場で修理しなければならないので、最悪の場合ラインを停止することになるが、モートミニは台座から外して修理に持っていき、代わりのモートミニを設置すればラインを稼働させることができる。浪江課長補佐は「モートミニなら、手荷物として新幹線で持ち運ぶこともできる」と笑う。

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