• インタビュー
2018.11.01
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[創刊特別インタビュー]10年後が楽しみ/国際ロボット連盟津田純嗣会長

”人協働”に期待

注目を浴びる人協働ロボット(写真は安川電機の人協働ロボット「MOTOMAN(モートマン)HC10DTハンドキャリータイプ」)

――具体的な解は何でしょう。  1つ目は人協働ロボットです。従来、産業用ロボットは柵で囲って人から離れた場所で作業させなければなりませんでした。しかし、人協働ロボットとはリスクアセスメント(リスク分析と対処)を事前にし、ゆっくりとした動きで人の隣で作業をさせられるロボットです。2つ目の解は、簡単なプログラムで使えるロボットです。この2つについてロボットメーカー各社が開発を進めている状況です。 ――市場の反応はいかがですか。  普及を急加速させたいところですが、そう簡単な話ではありません。今まではサッと高速で動くロボットが主流でしたし、現在もそうしたロボットが市場の大半を占めています。ただ、ユーザー層の中でも意識がゆっくりと起き上がってきていると感じます。人協働ロボットがある一定のポジションを固めつつあると言えます。 ――今後どのくらいの速度で中小企業にも普及するとみますか?  この10年はお試し期間とみています。最初は恐る恐る使ってみて、いざ使ったら「あれにも使えそうだ」「ここにも使えるだろう」となる。その土台ができたら、次の段階に進むでしょう。たくさんのメーカーがたくさんの開発をし、競争しながら業界全体を発展させ、裾野が広がっていけばいい。今後がものすごく楽しみです。

「SIerが足りない」

――普及のハードルは?  個別の生産現場に合わせてロボットと周辺装置を組み上げるシステムインテグレーター(SIer)の数が足りません。多くの中小企業には生産技術者がいないため、システムは外部に発注するしか選択肢がありません。しかし、ロボットシステムを組めるSIerが世界的にも日本でも、圧倒的に足りていないんです。そこで、IFRでもSIerの団体を作り、日本のロボット工業会でも今年7月に「FA・ロボットシステムインテグレータ協会」、通称SIer協会を設立しました。メカも作れて生産技術も分かるSIerがもっともっと出てくるのを期待しています。

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