中国、ロボットとハイテクに1兆元の巨額投資へ/国際ロボット連盟
国際ロボット連盟(IFR、会長・伊藤孝幸ファナック技監)は3月25日、中国政府がロボットや人工知能(AI)などの先端技術分野向けに政府系ベンチャー・キャピタル・ファンドを設立する方針を明らかにしたと報じた。ファンド規模は今後20年間で1兆元(約20兆7000億円)に上る見通しで、地方政府や民間企業からの資金調達を想定する。
同施策は、2021年に策定された「国家ロボット産業発展計画」と「第14次五カ年計画(2021~2025年)」に基づくもので、製造業の高度化と産業競争力の強化を図る国家戦略の一環と位置づけられる。
IFRの伊藤会長は「中国は、国家戦略のもとで製造業の高度化をかつてないスピードで実現しており、競争力強化の好例となっている」と評価する。
国内メーカーが台頭、ヒューマノイド分野にも注力
中国の産業用ロボット市場では、国内メーカーの導入シェアが20年の30%から23年には47%へと大きく伸長。特に電子産業では、23年に世界で新たに導入されたロボットの約3分の2が中国に設置され、そのうち54%を中国メーカーが供給した。金属・機械分野でも、国内シェアが85%に達するなど、自動化需要の高まりの中で地場企業の存在感が一段と高まっている。
中国はヒューマノイドロボットを「最先端技術(フロンティアテクノロジー)」と位置づけ、AIやスマート製造との技術融合を含めて国家主導で開発を加速させる方針を示している。今回発表されたファンドも、そうした次世代分野への投資を後押しする役割を担う。
ドイツ機械工業連盟(VDMA)ロボティクス・オートメーション部門のディートマー・レイ会長は「中国や米国ではヒューマノイドロボットへの巨額投資が進んでおり、欧州も後れを取るべきではない」と述べ、欧州の技術を研究段階から量産・実用化フェーズへと移行させる必要性を強調した。
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