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2019.06.24

連載

[注目製品PickUp!vol.15]シンプルなシステムで導入しやすく【前編】/川崎重工業「duAro」

川崎重工業の協働型の双腕スカラロボット「duAro(デュアロ)」は、信頼性の高い既存のスカラロボットの技術と、直感的にティーチングできるソフトウエア技術、それらの技術を生かすアイデアをもとに開発された。垂直関節型の双腕ロボットに比べて軸数(動きの自由度)を少なくしたことと、機能的な工夫により、制御やティーチングがしやすい。人と並べて設置できる協働ロボットなので、さまざまな現場に導入できる。

「Easy to Use」を追求

 Dual Arm Robot、略して「duAro(デュアロ)」。業界を代表する双腕ロボットの一つだ。開発のコンセプトは「Easy to Use(イージー・トゥ・ユース=簡単に使える)」で、使いやすさを追求した。

 人間の動きを模した他の双腕ロボットと比べると、シンプルな構造が特徴の一つ。垂直多関節タイプの双腕ロボットは制御軸数が15軸ほどあることが多いが、デュアロは片腕4軸ずつの合計8軸。制御する軸が少ないほどセットアップは簡単だ。

 セットアップには、専門的なプログラミング技能は不要。「ダイレクトティーチモード」と「タブレットモード」を使い分けて動作を設定する。ダイレクトティーチモードでは、人の手でアームを動かし、動きの始点と終点でボタンを押してその位置を登録するだけ。タブレットモードでは、軸ごとに細かく動作を設定できる。タブレットとデュアロはWi-Fi(ワイファイ、無線通信の一種)でつながっており、1台のタブレットで複数のデュアロのプログラムを作成することも可能だ。

  • 外観もシンプルなduAro

  • タブレットモードのティーチング画面

協働ロボットとしても優秀

「人の作業に代わることを目指して開発した」と話す長谷川省吾理事

 開発を主導した精密機械・ロボットカンパニーの長谷川省吾理事は「イージー・トゥ・ユースというコンセプトには、単純な使いやすさだけでなく、導入や設置、移設、運用がしやすいという意味を含む」と語る。

 例えば、産業用ロボットでは一般的にロボット本体とは別にコントローラーの設置スペースが必要だが、本体下のキャビネット内部にコントローラーを収めることで一体化し、設置のスペースや手間を削減した。キャビネットにはキャスターが付いているので、ライン変更に伴う移動も簡単だ。

 また、デュアロは動作中に人やものに触れると停止する機能を持つ。モーターの電流値の異常を検知して停止するタイプだが、トルク(回転する力の強さ)を大幅に増幅する減速機を使わずに駆動しているため、衝突を素早く敏感に検知できる。

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