[ショールーム探訪vol.3]秘密じゃないけど秘密基地【前編】/ABB「アプリケーション・センター東日本」
漂う「秘密基地」感
思ってたのと違う――。 率直に言えば、記者が行きなれた製造現場に近い。あらわになるのは、記者が相当勝手な先入観を持っていた事実だ。 ABBは世界4大ロボットメーカーの1社で、外国(スイス)の企業だから、「きっと妙に小ぎれいでスタイリッシュな、自分にとっては異空間が広がっているだろう」とちょっと思っていた。 しかしそんなことはない。ぱっと見ただけで、創意工夫の試行錯誤をしている場所であると感じる。小型の双腕型協働ロボット「YuMi(ユーミィ)」、AC東日本ではメインではないが塗装機(アトマイザー)を装着した大型の垂直多関節ロボット、ピッキング用のパラレルリンク・ロボット・パッケージ「FlexPicker(フレックスピッカー)」の従来型と新型がそろい、耐久試験なのかひたすら同じ動きを続ける双腕型の協働ロボットなど、確かにロボットはズラリとある。しかし、見栄えのためだけに置かれているとは全く思えない。 AC東日本は、予約すればほぼ制約なくロボットを見学できるショールームの機能を持ちつつ、アプリケーション(応用技術)の開発をメインとする場所なのだ。秘密になどしていないのに「秘密基地」感というか、技術開発に取り組む現場感を感じさせる。 「ここがないとわが社のロボットビジネスは成り立ちません」と、ABB日本法人のロボティクス&ディスクリート・オートメーション事業本部(長い)、玉西雄三サービス/デジタル/エンジニアリング・プラットフォーム事業部長(長い!)はさらっと言う。 ――どういうことなのか? それを知るためにAC東日本に来た。 だが、まずはABB日本法人について簡単に振り返っておこう。