生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2020.05.15

ソフトの機能を強化し、使いやすさを向上/ABB

スイスの大手産業用ロボットメーカーのABBは、ロボットのソフトウエアの機能強化に力を入れている。ここ数カ月で、ロボットの使いやすさを向上する新機能や新製品を相次いで市場投入した。また、新型コロナウイルス感染症が世界中で拡大する中、ABBは顧客支援の一環で、主要なソフトやサービスを2020年末まで無料で提供している。

包括的なソリューションが強み

「世界4強」の一角を占めるABB(写真は「2019国際ロボット展」)

 ABBはスイスに本社を置く大手重電メーカー。産業用ロボットも製造、販売しており、業界では安川電機やファナック、ドイツのKUKA(クカ)と共に「世界4強」の一角を占める。

 ABBの強みは、ロボットシステムの構築やロボットとソフトウエアの組み合わせ、アプリケーション(応用的な使い方)の開発など、ロボット単体にとどまらない包括的な自動化ソリューションの提案力にある。
 垂直多関節ロボット、スカラロボット、パラレルリンクロボット、双腕型の協働ロボット「YuMi(ユーミィ)」などの多彩な製品ラインアップを誇る「ハード面」と、各種ロボットをより使いやすくする「ソフト面」の両面から、世界中の顧客に自動化ソリューションを提供する。

 最近は特に、ソフトの機能強化に力を入れており、ロボットの使いやすさを向上する新機能や新製品をここ数カ月で相次いで市場に投入した。

PC上でスカラロボを制御

ロボット・コントロール・メイトを使い、スカラロボットをPC上で制御(ABB提供)

 ABBは4月23日、オフラインプログラミングやシミュレーションができるソフト「RobotStudio(ロボットスタジオ)」の機能を拡張し、作業者が自分のパソコン(PC)からスカラロボットを制御できるようにしたと発表した。

 オフラインプログラミングとはPC上でロボットの動作プログラムを作成すること。作業者がティーチングペンダントを使ってロボットに動作を教示するのとは違い、生産ラインを止めずにプログラムを作成できる。
 ロボットスタジオは、生産ラインの3次元モデルを仮想空間に再現し、その仮想空間上でロボットのプログラミングやシミュレートができる。ロボットシステムの立ち上げには通常、現場でのさまざまな調整が必要だが、その手間を大幅に軽減できるのが特徴だ。

ロボット・コントロール・メイトの概要(ABB提供)

 今回は、スカラロボットをPC上で制御できる機能「Robot Control Mate(ロボット・コントロール・メイト)」を新たに追加した。
 まずは天つり型のスカラロボット「IRB910INV」から、ロボット・コントロール・メイトに対応する。将来的には、同社の他のスカラロボットも対応する予定だ。

 小型ロボットを担当するグローバルプロダクトマネージャーのダレン・ハン氏は「ロボットシステムの立ち上げがより簡単になる。作業者もPC上からスカラロボットを操作でき、より柔軟にロボットを扱える」と説明する。

 なお、5月28日の17時から、ロボット・コントロール・メイトに関する英語での無料ウェブセミナーが開催される。日本国内でのサポートは、現在調整中という。

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