生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2024.05.16

独tesaと協業、シールによる車体の穴ふさぎを提案/ABB

スイスの大手ロボットメーカーのABB(日本法人=東京都品川区、ロイック・ペコンドン‐ラクロワ社長)は4月15日、ドイツの大手粘着テープメーカーのtesa(テサ)との協業を発表した。ロボットを使い、自動車ボディーの穴を樹脂キャップではなく粘着シールでふさぐことを提案する。「今回の協業のために専用のユーザーインターフェースなども開発した。人手不足の改善やコスト低減に加え、軽量化や省スペース化などメリットは多い」とABBの浅利貴事業本部長は話す。

ロボットの先端に自動貼り付け機を搭載

 自動車のボディーには、塗料を入れたタンクに沈めて塗装する電着塗装の液抜きや、組み立て中の各種作業用に多数の穴が開いている。この穴は組み立て後は不要になるため、これまでは樹脂製キャップを使い人手でふさぐことが多かった。この樹脂製キャップをtesaの粘着シールに置き換え、ABBのロボットで自動貼付するのが両社の提案だ。

 ABBのロボットの先端に、tesaが開発した自動貼り付け機「tesa6042 ProSeal(プロシール)」を取り付け、シールを貼り付けてボディーの穴をふさぐ。腕と顔を上げた負荷の大きい姿勢での作業を自動化でき、トータルコストの低減も見込める。樹脂製キャップと比べてシールは軽量で、保管スペースも小さくて済む。

  • ボディーに開けられた多数の穴

  • さまざまな性能のシールをそろえる

カートリッジ式を新たに開発

ABBのロボットとtesaの自動貼り付け機を組み合わせ、シールを自動で貼る

 tesaではこれまでもシールの自動貼り付け機を開発してきたが、今回提案する自動貼り付け機は開発したばかりの3世代目の製品だ。

 特徴は、シールがカートリッジ式になっている点。従来はシールのロール紙を、顧客自身が自動貼り付け機にセットする必要があり、貼り付け機の内部に複雑にロール紙を通すなどの手間があった。シールがカートリッジにあらかじめセットしてある方式なら、こうした作業は不要だ。
 シール剝離後の台紙はカートリッジと共に回収されtesaが再利用するため環境負荷も小さい。

ロボットがシールのカートリッジを自動で交換

 車体下部なら厚みのある丈夫な基材のシール、電気自動車のバッテリーセル周りなら耐熱性・耐火性のあるもの、内装向けには複雑な曲面に対応しやすい柔軟性に優れるものなど、使用部位に合わせてさまざまな性能のシールを選択できる。

 穴の数は車種ごとに異なるが、自動車1台当たり100個~200個程度。樹脂製キャップは穴に合わせたジャストサイズのものをそれぞれ用意する必要があるが、テープなら「大は小を兼ねる」ことができ、種類を集約できる。
 カートリッジは自動で交換でき、所要時間は5秒~10秒程度。シールの種類によっても異なるが、1つのカートリッジに3000枚程度のシールを内蔵する。ストッカーにカートリッジをいくつも用意しておけば、長時間の自動運転も可能だ。

TOP