[ショールーム探訪vol.3]秘密じゃないけど秘密基地【前編】/ABB「アプリケーション・センター東日本」
アプリ開発の拠点
ABBはスイスに本社を置く産業機器メーカーで、1988年にスウェーデンとスイスの、ともに重電メーカーの2社が合併してABBとなった。日本では1907年に前身企業が現在の横浜市内に事務所を開いた。日本での歴史も思いのほか長い。日本法人には現在、制御システムやセンサー、モーターなどの動力装置、昨今注目を集める電気自動車の充電設備など、多岐にわたる製品を扱う4つの事業本部があり、産業用ロボットなどの工場自動化(ファクトリーオートメーション=FA)機器を手がけるのがロボティクス&ディスクリート・オートメーション事業本部だ。
ABBの一番の強みは、「ロボットの単体売りだけではなく、システム構築やソフトウエアとの組み合わせなどの幅広い提案ができること」と玉西事業部長は胸を張る。「国内でもテストを含め500を超える案件の経験と知見を持ち、ロボットメーカーでありながら最終顧客の希望に対して『できる・できない』の的確な判断もできる」という。的確な判断ができるのは高い実力があればこそ。
そして最も重要な、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)や最終顧客に納入するためのハードとソフトのより使いやすい組み合わせなど、応用技術の開発を担う拠点が、AC東日本なのだ。
ミッションはロボットを使い最終顧客にソリューションを提供すること。なかでもAC東日本は、パラレルリンクロボットを使った三品(食品・医薬品・化粧品)産業向けのピッキング案件に強い。その提案力の最たる例が、コントローラーやエンドエフェクター、カメラ、フレーム、安全機器などをパッケージ化したロボットシステム「FlexPicker オールインワン」だ。ロボットや周辺装置、ソフトなどを総合的に提供し、ロボットの導入と運用を支援する。
なお日本市場におけるABBロボットの納入で最も実績があるのは塗装分野で、ABB全体のグローバルな開発拠点(テクニカルセンター)の一つが静岡県島田市にあるほど。ABBとSIer、最終顧客が協力してロボットの動作テストや周辺機器を開発する拠点として、AC東日本のほかにAC中日本もある。AC中日本は、愛知県豊田市にあり、垂直多関節の中・大型ロボットや協働ロボットを常設して自動車部品や金属加工向けの提案をしている。
前編ではまず、立地やたたずまい、各種ロボット、ABBというメーカーについて紹介した。後編では、AC東日本で見ることのできる具体的な取り組みを紹介する。
――後編へ続く
(ロボットダイジェスト編集部 芳賀 崇)
施設概要
名称:アプリケーション・センター東日本
所在地:相模原市緑区西橋本5-4-30 SIC-2、2212号室
予約連絡先:042-4523-6590