[連載コラム:いまさら聞けないキーワード]vol.13 マシンテンディング
「マシンテンディング(machine tending)」を直訳すると、「機械の世話をする」といった意味です。もう少し意味をくみ取ると、「機械に対して材料の投入や交換をし、生産を継続させる」というニュアンスになります。
ここで言う「機械」とは多くの場合、工作機械やプレス機、射出成形機など金属や樹脂の加工設備を指します。同じ製品を大量生産するため反復作業が多く、材料も食品や液体のように不定形ではないことからハンドリングしやすいため、ロボットが役立つ作業として、早くから技術開発や導入が進んできました。夜間の無人運転が可能になり、オペレーターが複数の設備を掛け持ちできるなど、自動化することのメリットは大きいです。
こうした機械では生産品目の切り替え時などは人による作業が必要なことも多く、また工場のレイアウトを大幅に変えなくても導入できるため、協働ロボットも数多く使われています。協働ロボットは動作速度が通常の産業用ロボットと比べれば遅いですが、機械の加工を待つ間に次の準備を進められるため、ロボットの動作が多少ゆっくりであっても許容されやすいといえます。
工作機械業界では、ロボットを用いたマシンテンディングソリューションを、工作機械メーカーが自ら開発する事例が目立ちます。既存設備に導入する場合はシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)が支援するのが一般的ですが、幅広い設備に対応可能な汎用のソリューションも製品化されています。
直接材料を投入、交換する作業はロボットが担う場合が多く見られますが、ラインや工場の規模によっては大掛かりな搬送システムを構築する必要があったり、逆に小規模な場合は移設しやすいソリューションのメリットが大きいです。SIerや設備メーカーと相談しながら導入を進めるのがベストでしょう。
〇写真の元記事はこちらから:ティーチングレスで使える協働ロボットシステムを発売/中村留精密工業