[活躍するロボジョvol.40]バリ取りの課題をロボットで解決/スギノマシン 荻野みなみさん
まずはバリの状態を知るところから
スギノマシンの荻野みなみさんは、精密機器事業本部技術統括部応用開発部マーケティング課デバラボ係に所属する。同社が静岡県掛川市の掛川事業所内に2023年に設立したバリ取り技術の研究開発拠点「デバラボ」に勤務しており、主にロボットを使ったバリ取りの自動化ソリューションの提案活動に取り組む。
荻野さんはバリ取りに悩む顧客に対して丁寧にヒアリングしながら、バリ取りの課題や希望内容をまとめた「バリ取り診断書」を作成する。これに基づいてバリ取りの自動化に必要な仕様や最適な刃具を検討しつつ、デバラボ内に設置したロボットを使用してバリ取りのテスト加工も実施する。バリ取り用のロボットプログラムも荻野さんが作成する。
同社はフローティング機構(刃具を一定の圧力で対象物に押し付ける機構)を備えたバリ取り用ツール「BARRIQUAN(バリカン)」や、それを生かしたロボットバリ取り自動化セル「RDM-S」など、バリ取りの自動化を実現する商品を数多く保有する。
これらの自社商品を活用しながら、顧客から寄せられたバリ取りの相談を解決まで導くのが荻野さんの役割だ。「『バリ』と一口に言っても、その形状や大きさ、発生する位置は加工内容や対象物の素材ごとに異なります。そのため、まずはお客さまのバリの状態を知るところから始める必要があります。バリの技術的な知識やコミュニケーション力、提案力が求められるためプレッシャーはありますが、その分やりがいも大きいです」と話す。
人見知りだからこそ
荻野さんは18年1月に同社に中途入社し、今年で8年目を迎えた。入社以来、掛川事業所に勤めており、当初はワイヤ放電加工機と呼ばれる工作機械を使って部品加工をしていたが、23年4月にマーケティング課デバラボ係に異動。上司や先輩に教えてもらったり、実際にロボットを操作したりしながら、バリの基礎知識やロボットのティーチング(動作を覚えさせること)などのスキルを少しずつ身に付けた。
自身の性格について問うと、「私は人見知りです」と荻野さんは言う。「ですが、人見知りだからこそ、どうしたら相手の懐に入れるかを冷静に考え、相手とコミュニケーションができます」とも語る。上司であるマーケティング課の武藤充課長も「荻野は考えをまとめる能力が高い。テスト加工の結果などの客観的なデータに基づき、お客さまに論理立てて説明できるのが強み」と評価する。
シミュレーションソフトの操作習熟も目指す
デバラボ係で2年以上のキャリアを積んだ荻野さん。今年4月からは同じ業務を担う後輩社員も一人増えた。今後は後輩社員の教育に取り組むと同時に、自身もバリ取りの知識や提案力のさらなる向上に努める構えだ。
また、バリ取り用のロボットプログラミングの効率化を図るため、自社商品のロボット用シミュレーションソフトウエア「CROROROS(クロロロス)」の操作習熟も目指すという。
荻野さんは子どもの頃からスポーツが得意で、同社に入社する前は静岡県掛川市を拠点とするソフトボールの実業団チームに所属していた。「体を動かすのが好きなので、今でも休日にはソフトボールやゴルフなどを楽しんでいます。最近はソフトボールの記録員の資格取得にも励んでいます」と話す。
(ロボットダイジェスト編集部 桑崎厚史)