搬送ロボットを使った工程間搬送の自動化提案に注目集まる/第10回ものづくりワールド名古屋
安くて小さいAMR
自律走行搬送ロボット(AMR)を製造、販売するPreferred Robotics(プリファードロボティクス、東京都千代田区、礒部達最高経営責任者<CEO>)は小型AMR「kachaka Pro(カチャカプロ)」を展示した。カチャカプロの特徴は本体の小ささと価格の安さだ。最小550mm幅の通路を走行できるため、狭い通路や人の往来が激しい場所でも走行できる。また、本体価格は100万円以下と安価なため、設備投資の予算が限られている中小企業でも導入しやすい。
ビジネス開発の礒部芳朗さんは「カチャカプロは『日本で一番小さいAMR』(同社調べ)であることが強みで、自動車部品や電子部品業界だけでなく、飲食店や歯科医院など幅広い分野で活躍できる」と話す。
産業用ロボットシステムも充実
搬送ロボット以外のロボット関連の展示もあり、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のIDECファクトリーソリューションズ(愛知県一宮市、藤木勝敏社長兼CEO)は、パレット(荷役台)に段ボール箱を積み付けるパレタイジングシステムを展示した。同社は中国のロボットメーカー、ROKAE(ロッキー)の日本法人、ROKAE精機(東京都港区、王少飛社長)と代理店契約を結ぶ。ブースでは日本初公開となる協働ロボットシステム「ROKAEパレタイジングパッケージ」によるデモを披露した。
同製品はロボット本体や操作パネルが付いた制御キャビネット、吸着ハンドなどで構成される。操作パネルに段ボール箱の寸法や個数などの情報を入力するだけで、積み付けパターンを自動で生成する。また、エリアセンサーやセーフティー・ライト・カーテンなどの安全システムをオプションで豊富にそろえるのも強みだ。
ニコンは産業用ロボットアームに装着したビジョンシステムを使い、コンベヤー上を流れるワーク(加工対象物)の穴にボルトを挿入するデモや、ばらばらに積まれた小型部品を高速でピッキングするデモを披露した。同システムは3Dと2Dを組み合わせた独自のアルゴリズム(計算方法)や画像処理技術を採用しており、ワークを高速かつ高精度に認識できる。また、ばら積みピッキングでは視野内に認識できるワークがなくなった場合は、ロボットがのぞき込むようにさまざまな角度から撮影してワークの取り残しを防ぐ。
ビジョンロボティクス本部第一開発部第二開発課の三村晃平第一係長は「細かなブレや位置ずれに対して即座に補正ができるため、コンベヤー上を流れるワークに滑らかに追従できる」と説明する。
ロボットハンドメーカーのFingerVision(フィンガービジョン、東京都江東区、濃野友紀社長)はコア技術の「視触覚センサー」を用いたばら積みピッキングシステムを紹介した。同社のロボットハンドは爪の内側にカメラが搭載されている。ワークとの接触部分を撮影し、独自の画像処理技術で力の分布や滑りを検知できる。そのため、不定形で軟らかいワークでも、人間のように力を調整して把持できるのが特徴だ。
角谷雄一最高収益責任者(CRO)は「ばら積みピッキングでは通常、把持の確実性を高めるためにワークの重心を見極めなければならない。わが社のハンドはどんな姿勢のワークでもつかめるため、タクトタイムの短縮に貢献できる」と力を込める。
4サイズをラインアップ
マブチモーターは協働ロボットの関節に使用するブラシレスモーター「IA/IBシリーズ」を出展した。中空タイプのフレームレス構造で小型化と軽量化を図った。
同シリーズの最大の特徴は、モーター内の磁力でシャフトががたつくコギングを低減し、ロボットの滑らかな動きを実現できることだ。回転子(ローター)に配置するマグネットを、外周ではなく内部に埋め込む独自構造で磁力を調整しコギングを抑えた。
担当者は「同シリーズは低コギングでロボットを滑らかに動かせるため、医療現場など繊細な作業が必要な場所で活躍するロボットに採用されている」と話す。
(ロボットダイジェスト編集部 山中寛貴、平川一理)
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