• インタビュー
2023.06.05
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相手は常に顧客であり市場/安川電機 小川昌寛社長

顧客や市場ニーズを開発の起点に

――社長としてやりたいことは。

 「技術立社」という言葉をうたうように技術力が強みですが、モノからコトの改革は起きないのが鉄則です。いくら製品ポートフォリオを充実させても、そこに並べた「モノ」が市場という「コト」を動かせるわけではないんです。ですから、顧客市場で求められているコトの狙いが何なのかを見極めて、そこで必要とされる適切なモノを開発し、提供するしかありません。開発の志向を顧客や市場ありきに転換させるため、デジタル経営のプラットフォームであるYDX(安川デジタルトランスフォーメーション)や、開発推進のインフラである安川テクノロジーセンタといった、進化のきっかけを小笠原浩会長らが築いてきました。これからはそれらをどう生かすかが課題です。

――カーボンニュートラル(炭素中立)に関するニーズが強まっています。

 変化に対応するには、まず動き出して情報を集めるのが重要。人の営みが人に害をなす循環を、技術によってどこかで断ち切らなければなりません。自動化や省人化は、循環を変える大きなすべになると思っています。

――ティーチングなしで動くモートマンネクストが興味深いですね。

 ティーチングプレーバックからの脱却はロボットメーカーとしての悲願で、顧客の要望としても圧倒的に多い。ペンダントがタブレットに変わるなどの変化はありますが、原理そのものは変わっていません。23年度に発売予定の「モートマンネクスト」はその常識を覆します。ドローンの自律運用など進化したリモート技術が日常生活を支えるエコシステムになると思われるように、人手不足の現場を支えるエコシステムになるでしょう。

経験に勝る学びなし

――社長になって変わったことは。

 ロボット事業だけでなくモーションコントロール事業や経営のことなど、いろいろなことを考えるようになりました。見聞きする話の幅も広がりました。あと、座右の銘をよく聞かれるようになったので「人生常に勉強」「経験に勝る学びなし」と答えるようにしています。

――休日はどう過ごしますか。

 「経験に勝る学びなし」ではありませんが、米国赴任時代に経験したキャンプが忘れられず、いつかキャンプをしたいと思っています。予約したり道具をそろえるなど準備がおっくうで実行できていませんが、ここでも最初の行動力が問われています(笑)

 

(聞き手・八角 秀、写真・松川裕希)

 

おがわ・まさひろ

1987年九州芸術工科大学(現九州大学)工学部卒業、安川電機製作所(現安川電機)入社。2004年ロボティクスオートメーション事業企画部長、06年ロボット事業部ロボット工場開発部長、07年新規ロボット事業推進部長、09年新規ロボット事業統括部長、10年ロボット技術部長。10年米国安川米州統括。12年執行役員、16年ロボット事業部長、19年取締役、20年常務、22年代表取締役専務。23年3月より現職。1964年生まれの58歳。

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