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2023.12.19

連載

[注目製品PickUp! vol.61]軽くて低コストの協働ロボット/イグス「ReBeL」

ドイツに本社を置く樹脂部品メーカー、イグスの日本法人(東京都墨田区、吉田剛社長)は、今年に入り協働ロボット「ReBeL(リベル)」の国内展開を本格化した。軽さと省スペース、低コストが大きな特徴で、国内でも既に引き合いや受注は多い。同社のロボット事業の特徴は既存の設備やリソースを活用し、シンプルな自動化で生産性を高める「ローコストオートメーション(LCA)」で、ReBeLはその主力機種。吉田社長は「生産工程の自動化をはじめ、ReBeLの活用シーンは多岐にわたる」と語る。

特徴は軽さと省スペース、低コスト

 イグスが今年から日本で本格的に販売展開するのが、協働ロボット「ReBeL」だ。アームや内部部品に独自の樹脂を使っており、本体質量が8.2kgと非常に軽い。
 通常のロボットはロボットコントローラーを本体の周囲に置くが、ReBeLは内蔵している。そのため既設の生産ライン内など、限られたスペースにも設置しやすい。
 加えて価格が低い点も特徴で、6軸のタイプは100万円ほど、4軸のタイプなら80万円ほどで購入できる。

 このような軽さと省スペース、低コストがReBeLの大きなメリット。先行して発売していたドイツでは、これらの特徴を生かしてさまざまな用途に使われているという。
 吉田社長は「ピック&プレースなど生産工程の自動化だけでなく、研究用や飲食店でも実績がある。日本国内でも既に引き合いや受注は多く、活用シーンは多岐にわたる」と話す。

協働ロボット「ReBeL」の外観写真 (提供)

 同社はReBeLの開発時、機能はシンプルに、かつ低コストで現場に導入しやすくなるよう意識した。可搬質量 は2kgで、位置決め精度は±1mm 。
 現場の自動化に必要なスペックを満たしつつ、軽さや低コストなどの特徴を両立させた。

 吉田社長は「ロボットの速度や精度などを極端に高めると、価格も上がってしまう。ReBeLは、過剰なスペックをそぎ落としてシンプルで低コストの自動化を実現するという、LCA事業の方針に基づいて開発した。コンベヤー間の対象物(ワーク)の載せ換えなど、ReBeLが自動化に向く場面は多い」と説明する。

ロボット導入の入り口に

ウェブサイト上でティーチングソフトを無料公開している(提供)

 導入にかかるコストが低いため、ロボットを導入したことのない企業からReBeLの引き合いを受けることも多い。そこで重要なのは、初めてロボットに触れる人でも使いやすいこと。

 ウェブサイトで同社のロボット向けのティーチング(教示)用ソフトウエア「イグス・ロボット・コントロール(iRC)」を無料で公開しており、誰でも使えるようにしている。そのためユーザーは購入前に、同ソフトでロボット動作のシミュレーションができる。
 同ソフトはプログラミングなどの知識がなくても操作できるノーコードツールのため、ロボットの動作を簡単に設定できる。LCA事業開発担当の藤井航平さんは「専門の知識がない人でも、1~2時間で簡単な動作ならティーチングできるようになる」と言う。

 ソフト面を強化するためにイグスは昨年、ロボットの制御システムやソフトを得意とするドイツ企業を買収した。ユーザーがより使いやすくなるよう、高い頻度でソフトのアップデートを重ねている。操作画面を新たに日本語で表示できるようにし、国内の導入拡大を狙う。藤井さんは「価格が低くソフトも扱いやすいため、ReBeLはロボット導入の入り口になりやすい」と話す。

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