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2019.11.26

連載

[注目製品PickUp!vol.20]価格そのまま、性能アップ! スカラロボの旗艦製品【後編】/ヤマハ発動機「YK400XE」

今回の「注目製品PickUp!」では、ヤマハ発動機が2019年9月に発売したスカラロボット「YK400XE」を取り上げる。スマートフォンやパソコンなどの電化製品に使われる小物部品の組み立てや整列、検査を主な用途に見込む。ロボティクス事業部FA統括部の福川義章営業部長は、導入しやすい価格と高い性能を両立させたYK400XEを「自動化の普及を目指す『旗艦製品』」と位置付ける。

小物部品の組み立てや整列、検査に

 今回の「注目製品PickUp!」で紹介するヤマハ発動機の「YK400XE」は、アーム長が400mmクラスのスカラロボット。2014年に発売した同クラスの「YK400XR」の後継機種として、19年9月に発売した。

 ロボティクス事業部FA統括部の福川義章営業部長は「スマートフォンやパソコンなどの電化製品に使われる小物部品の組み立てや整列、検査での用途を想定し、アーム長400mmクラスのスカラロボットを開発した」と説明する。
 YK400XEの主な用途も小物部品の組み立てや整列、検査だが、最大可搬質量が3kgから4kgに増えたことで従来機種よりも幅広い用途に対応できるようになった。

 スマートフォンそのものの箱詰め作業など、新しい用途の開拓も視野に入れる。「中国などでは梱包作業の自動化のニーズが高まっている。こうした需要も取り込みたい」と福川営業部長は話す。

  • 箱詰めでの使用事例

  • 検査での使用事例

  • 組み立てでの使用事例

中国の展示会で初披露

「中国や東南アジアでは価格が重視される」と分析する福川義章営業部長

 従来機種は、中国や東南アジアの市場向けに「ローコスト」に重点を置いて開発した。福川営業部長は「欧米市場では製品のスペックやサービスなどの対応力を求められることが多い。一方、中国や東南アジアの市場で重視されるのは価格。製品のスペックが変わらなければ、後は価格勝負だった」と分析する。

 しかし、従来機種を発売した14年ごろからは市場環境が様変わりした。中国などのローカルメーカーがこの6年間で台頭した他、日系の競合メーカーも低価格帯のスカラロボットに注力し始めたという。

 競合と差別化するため、従来機種にさまざまな改良を加えたYK400XEを開発した。前編でも紹介したように、価格はそのままに最大可搬質量を1kg高め、標準サイクルタイムも約10%短縮して性能強化を図った。

メカトロテックジャパン2019では、ダイドーの小間で実機を展示した

 同社は、19年9月に中国の上海で開かれた工業見本市「中国国際工業博覧会」でYK400XEを初披露した。「現地の代理店は、製品価格に対して理解や期待感を示してくれた」と福川営業部長は手応えを語る。

 日本でも、19年10月初頭に大阪市内で開催された「第22回関西機械要素技術展」に出展。また、10月下旬に名古屋市内で催された工作機械見本市「メカトロテックジャパン2019」でもロボット商社のダイドー(名古屋市中村区、山田貞夫社長)の小間で実機を展示し、来場者の大きな注目を集めた。
 
 今年12月に東京で開催される「2019国際ロボット展」にも展示する予定だ。

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