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2022.03.31

[注目製品PickUp! vol.40]自作のようなロボットアーム/オリムベクスタ「OVR350K1」

使い勝手の良さが大きなメリット

営業本部の岡野隆文営業企画部長

 OVR350K1の制御に使用するロボットコントローラーは「MRC01」。
 MRC01は、オリエンタルモーター製のAZシリーズやAZシリーズを搭載する電動アクチュエーター、これらにより構成されたロボットに使える。つまり単軸ロボットから、2軸・3軸の直交ロボット、4軸ロボットアームの「OVR680K5」、5軸ロボットアームのOVR350K1に至るまで、全て同じコントローラーで制御できる。
 この使い勝手の良さが大きなメリットの一つだ。「初期設定、動作プログラミング、動作確認の3つのステップでロボットを簡単に導入・制御できる」と岡野部長は胸を張る。

ロボットコントローラー「MRC01」

 また専用のプログラミングソフトウエア「MRC Studio(スタジオ)」は、オリエンタルモーターのホームページから無償でダウンロードできる。自分でティーチング(教示)もできるなど、ランニングコストも抑えられる。
 アーム部分にはめねじ(ねじ穴)が10カ所あり、センサーやカメラの後付けを想定してある。

 4軸、5軸のロボットアームは移載、つまり物を移動させるのに使われる。「業種は問わず幅広い需要があり、潜在需要は非常に大きい」とみる。これまで具体的には理化学系や溶接トーチの位置決めなどの顧客が多かった。

自作の代わりにちょうどいい

OVR350K1は軸周りの安全ストッパーなど細かいところに気を配った設計

 OVR350K1のそもそもの始まりは2019年。オリエンタルモーターがAZシリーズの活用事例として電動アクチュエーターだけでなく、垂直多関節ロボットなどを展示会に参考出品すると、来場者から反響があり、「こういうのでいいんだよ(=ロボットメーカー製ほどのスペックまでは要らない)」との声が強かった。
 自動化ニーズの高まりとともに、ロボットを自作するニーズも高まっていた。ただし、実際に自作してみると「4軸、5軸のロボットアームの開発にはノウハウが必要だった」と岡野部長は振り返る。

 4軸のOVR680K5は開発に一年かけて20年に発売した。翌21年12月には5軸のOVR350K1を発売した。「プラモデル感覚が通じるのはせいぜい3軸の直交ロボットまで。実際に作ってみて難しさがよく分かった。OVR350K1を見ると、細かいところに気を配った設計であることが分かる」と、OVR350K1の軸周りに施した安全ストッパーを示しながら説明する。
 「ロボットを導入、自作しようという企業が、必ずしも技術力があるわけではない。単純な人手不足などに対応すべくロボットを検討すると、価格が高い。しかし自作するのは難しいなど、諦めねばならないケースも多い」と指摘する。

2台のロボットを使った測定のデモシステム

 OVR350K1やOVR680K5は武骨で質実剛健を絵に描いたような外見をしている。「これが見る人の『自作したらこうなる』とのイメージと合致する。価格も手を出しやすく抑えているため『ちょうどいい』」(岡野部長)。
 OVR350K1は本体だけなら定価は100万円を切る。コントローラーやドライバー、ケーブルなどがシステムを構成するため、ミニマムスタートは130万円ほどになる。これなら具体的に検討する企業も多いと同社はみる。

 また、多彩なエンドエフェクターをそろえるのも商社ならではの強みだ。グリッパーの電動化はトレンドの一つであり、オリエンタルモーター製のモーターを使用しているグリッパーを、商材として取り扱うも多い。トータルのシステムとして提案する際、モーターであるAZシリーズが共通項ゆえに、モーターごとの専用ドライバーが要らず、打ち出せるメリットが大きい。

本社ショールームにはOVR350K1などの実機が並ぶ

 都営大江戸線・つくばエクスプレス線の新御徒町から徒歩1分の位置にある本社にはショールームを設け、3軸の直交ロボット、4軸ロボットアームのOVR680K5、5軸ロボットアームのOVR350K1の実機を見られるようにしている。ここでエンドエフェクターを使ったテストなどもできるという。
(ロボットダイジェスト編集部 芳賀 崇)




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