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2022.07.27

新会社を設立し、AI・IoT・クラウドでDXを推進/DMG森精機、WALC

大手工作機械メーカーのDMG森精機は7月15日、100%出資の子会社WALC(ウォルク、東京都渋谷区、桜井努社長)を設立したと発表した。2017年にDMG森精機内に開設した「先端技術研究センター」を子会社として独立させたもので、設立日は4月20日。IT企業も多く立地する渋谷区に拠点を構え、製造業のデジタルトランスフォーメーション(DX=デジタル技術による変革)を推進するソフトウエアサービスを提供する。

先端技術研究センターを発展改組

渋谷駅から徒歩5分の場所にあるWALC

 WALCは7月15日、関係者を集めて本社内で開所式を開催した。
 同社は人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)、クラウドコンピューティングなどの先端技術を用い、製造業のDX化を推進する企業。ソフトウエアサービスを提供するとともに、長期インターンを積極的に受け入れ、先端技術を使いこなせる人材の育成を図る。
 社名のWALCはポーランド語でワルツを意味し、AI、IoT、クラウドコンピューティングの3要素をワルツの三拍子に見立てた。

WALC会長を兼任するDMG森精機の森雅彦社長

 「優秀な学生に長期インターンとして来てもらい、お互いにミスマッチのないことを確認して採用する。ベンチャー企業は顧客がどこにいるか分からない状態で事業を開始するが、WALCは対象が明確で、あとはしっかりと頑張るだけ」とWALC会長を兼任するDMG森精機の森雅彦社長は言う。

自律移動ロボットの制御技術も開発

自律移動するロボットシステム

 WALCが開発した技術の一例が、DMG森精機の自律走行ロボット「WH-AMR」を制御する「BR Controller(コントローラー)」。WH-AMRは、工作機械への被削材の付け外しや、被削材の搬送ができるロボットだ。
 開発した具体的な機能は2つ。一つ目が自律移動機能だ。レーザー測域センサーで周囲の環境を認識し、自らのいる位置を推定して自律移動する。

マーカーを読み込み、その位置に合わせて動作を補正する

 もう一つが、被削材を高精度に工作機械側の固定器具にセットする機能。自律移動台車では停止位置が数mm~数十mmずれることがあるが、機械側に付けたマーカーをロボットのビジョンセンサーで読み込み、機械とWH-AMRの相対的な位置を認識。その位置に合わせて動作を補正し、精密な作業ができる。

WALC設立の経緯を語る桜井努社長

 他にも、画像認識技術で基盤の検査をするシステムや、機械の予兆保全を行うシステムなどを開発する。

 「今は長期インターンを含めスタッフは15人ほどだが、3年で30人規模にしたい。3年後に黒字化し、10年後には売り上げ100億円規模を目指す」と桜井社長は語る。

(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)




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