2025.07.29
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欧州最大のロボット展、過去最多の来場者で盛況【前編】/automatica 2025

6月24日~27日の4日間、ドイツ・ミュンヘンで産業用ロボットの展示会「automatica(オートマティカ)2025」が開かれた。来場者数は前回展を大きく上回り、過去最高を更新した。地元の欧州メーカーが最新の製品や技術を展示したほか、日本メーカーも多数出展して欧州市場での存在感を示した。

4万9000人超が来場

左右に展示棟が並ぶメッセミュンヘン展示場

 オートマティカは西暦奇数年に開かれる欧州最大のロボット専門展だ。メッセミュンヘン展示場に40カ国から約800社が出展し、1100台以上のロボットを展示した。ドイツや欧州は自動車向けの設備投資が低迷して市況があまり良くないが、来場者数は前回展の4万1169人から大幅に増加して約4万9300人となり、過去最高を更新した。会場内は活気にあふれ、有力メーカーのブースは多くの来場者でにぎわった。

 日本の有力ロボットメーカーとの競合を避けるため「国際ロボット展(iREX)」には出展しない欧州メーカーもオートマティカには多数出展した。

AIアシスタント機能を開発

KUKAはプログラミングなどのAIサポート機能を発表した

 同展に特に力を入れる企業の一つが、地元ドイツの大手ロボットメーカーKUKA(クカ)だ。同社は動作プログラムの作成を支援する人工知能(AI)アシスタント機能「iiQWorks.Copilot(iiQワークス・コパイロット)」を会場で発表した。自然言語で「コンベヤー上の箱をパレット(荷役台)に積み付ける動作を追加して」などと指示を書き込むと、その内容が即座にプログラムに変換される。「コンベヤーを右側に配置して」など、シミュレーションソフトウエア上でのレイアウトの変更も自然言語の指示で可能だ。英語やドイツ語だけでなく、日本語も含めた多くの言語に対応する。

 「われわれは自動化をより簡単にすることを目指している」と広報担当のテレサ・フィッシャー氏は強調する。同機能は今年中に提供開始予定だ。

KUKAは自律走行型搬送ロボット(AMR)の展示にも大きなスペースを割いた
会場でKUKAが発表した1.5t可搬の巨大なロボット

双腕やヒト型に脚光

 展示会場があるミュンヘンに本社を置くAgile Robots(アジャイルロボット)も大規模なブースを構えた。同社は2018年創業のベンチャー企業で、協働ロボットメーカーや物流ロボットメーカーを買収しながら急成長している。

フランカロボティクスとNVIDIAのコラボ展示システム

 同社のブースでは23年に同社傘下に入ったFranka Robotics(フランカロボティクス)の製品も展示。フランカロボティクスもドイツの企業で、研究開発用途でとても高いシェアを持つことで知られる。米国NVIDIA(エヌビディア)とのコラボレーション展示では、NVIDIAが提供するヒト型ロボット向け汎用AIモデルの最新版「GR00T 1.5」とフランカロボティクスの双腕ロボットを組み合わせた。カメラで目の前の物を認識し、扱うことができる。

 こうしたシステムには通常は奥行き情報を取得できる特殊なカメラを使うが、AI技術で一般的なカラーカメラでこの作業を可能にした。フランカロボティクス代理店のリョーサン(東京都千代田区、稲葉和彦社長)の萩山公晴マネージャーは「フランカとNVIDIAの両方の製品をわれわれリョーサン菱洋グループで提供でき、この組み合わせに期待している」と語った。

ヒト型ロボットを発表するNEURA ROBOTICSのデビッド・レーガー最高経営責任者(左)

 ドイツ南部のバーデン・ビュルテンベルク州に位置するNEURA ROBOTICS(ニウラロボティクス)は、ヒト型ロボット「4NE1サードジェネレーション」を会場で初披露した。会期初日にブース内で開いた発表イベントには、ブースからあふれるほど大勢の来場者や報道関係者が集まった。同製品の全高は180cm、質量は80kgで、時速5kmで歩行できる。物流現場や製造現場での活用を意識した製品で、変化する周辺環境にAIでリアルタイムに対応する。

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