欧州最大のロボット展、過去最多の来場者で盛況【前編】/automatica 2025
6月24日~27日の4日間、ドイツ・ミュンヘンで産業用ロボットの展示会「automatica(オートマティカ)2025」が開かれた。来場者数は前回展を大きく上回り、過去最高を更新した。地元の欧州メーカーが最新の製品や技術を展示したほか、日本メーカーも多数出展して欧州市場での存在感を示した。
4万9000人超が来場
AIアシスタント機能を開発
同展に特に力を入れる企業の一つが、地元ドイツの大手ロボットメーカーKUKA(クカ)だ。同社は動作プログラムの作成を支援する人工知能(AI)アシスタント機能「iiQWorks.Copilot(iiQワークス・コパイロット)」を会場で発表した。自然言語で「コンベヤー上の箱をパレット(荷役台)に積み付ける動作を追加して」などと指示を書き込むと、その内容が即座にプログラムに変換される。「コンベヤーを右側に配置して」など、シミュレーションソフトウエア上でのレイアウトの変更も自然言語の指示で可能だ。英語やドイツ語だけでなく、日本語も含めた多くの言語に対応する。
「われわれは自動化をより簡単にすることを目指している」と広報担当のテレサ・フィッシャー氏は強調する。同機能は今年中に提供開始予定だ。
双腕やヒト型に脚光
展示会場があるミュンヘンに本社を置くAgile Robots(アジャイルロボット)も大規模なブースを構えた。同社は2018年創業のベンチャー企業で、協働ロボットメーカーや物流ロボットメーカーを買収しながら急成長している。
同社のブースでは23年に同社傘下に入ったFranka Robotics(フランカロボティクス)の製品も展示。フランカロボティクスもドイツの企業で、研究開発用途でとても高いシェアを持つことで知られる。米国NVIDIA(エヌビディア)とのコラボレーション展示では、NVIDIAが提供するヒト型ロボット向け汎用AIモデルの最新版「GR00T 1.5」とフランカロボティクスの双腕ロボットを組み合わせた。カメラで目の前の物を認識し、扱うことができる。
こうしたシステムには通常は奥行き情報を取得できる特殊なカメラを使うが、AI技術で一般的なカラーカメラでこの作業を可能にした。フランカロボティクス代理店のリョーサン(東京都千代田区、稲葉和彦社長)の萩山公晴マネージャーは「フランカとNVIDIAの両方の製品をわれわれリョーサン菱洋グループで提供でき、この組み合わせに期待している」と語った。