• インタビュー
2025.02.03
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最先端を常にキャッチアップ、セル制御を新たな段階へ/安川電機 小川昌寛 社長

デジタルデータを高度に活用できる

――昨年から「アイキューブ・コントロール」も提唱しています。これについても教えてください。

 ロボット単体で自律的に高度な制御を可能にするのがモートマンネクストなら、装置やロボットが組み合わさったセル単位でそれを可能にするのがアイキューブ・コントロールです。安川電機では、デジタルデータの活用で自動化ソリューションをさらに進化させるコンセプト「i³-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を17年から提唱してきました。これを実現するためのコントローラーソリューションの総称を24年から「アイキューブ・コントロール」として展開しています。

iCube Controlのコンセプトを体現するコントローラーYRM1010

――具体的にはどんなものが。

 例えば24年1月に発売したモーションコントローラー「YRM1010」などはアイキューブ・コントロールを体現する製品の一つです。セルを統合的に制御し、同時に同期性の高いデータをリアルタイムに収集・活用してフィードバックできます。安川電機というとロボットの他にサーボモーターを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、それらを制御するコントローラーにも強みを持っています。

――セル全体を制御できるのですね。

 従来のモーションコントローラーから、セル全体を最適に制御できるコントローラーへと進化しています。セルはPLCで制御することが多いと思いますが、わが社のコントローラーならセル全体をより高度に制御でき、データも時系列情報を含めて収集できます。ものづくりの現場を変える新たな提案です。

24年9月に米国で発表して大きな反響があったiC9200

――その他にはどんなものがありますか。

 グローバル向けにはYRM1010と同等の高い能力を持つ「iC9200」を販売しています。米国で9月に発表したところネットワークの安全性や充実した機能が好評で、非常に大きな反響がありました。昨今、装置メーカーは「装置の製造、販売」ではなく、装置を通した「ソリューションの提供」へと意識が変化しています。それを実現できるのがアイキューブ・コントロールで、欧米だけでなく国内でも積極的に提案します。

 

(聞き手・ロボットダイジェスト編集長 八角 秀)

 

おがわ・まさひろ

1987年九州芸術工科大学(現九州大学)工学部卒、安川電機製作所(現安川電機)入社。2004年ロボティクスオートメーション事業企画部長、06年ロボット事業部ロボット工場開発部長、07年新規ロボット事業推進部長、09年新規ロボット事業統括部長、10年ロボット技術部長。10年米国安川米州統括。12年執行役員、16年ロボット事業部長、19年取締役、20年常務、22年代表取締役専務。23年3月より現職。1964年生まれの60歳。

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