• インタビュー
2023.06.05
★お気に入り登録

相手は常に顧客であり市場/安川電機 小川昌寛社長

今年3月、安川電機の経営トップに小川昌寛社長が就任した。モーターの技術の応用からインバーターやロボットなどへと事業領域を広げ、2022年度には売り上げ、利益ともに過去最高を記録。従来と変わらず「技術立社」を掲げる一方、小川社長は「コトからモノへ」との方針を強調する。「進化のきっかけはできた。これらをどう生かすかが課題」と話す。

2022年度は過去最高の業績

――22年度の売上収益や利益は過去最高でした。足元の景況感はいかがですか。

 22年度はロボットがけん引しました。特に中国での受注が好調でしたが、昨年から弱含みの状況が続いています。とはいえ今年3月以降に底をつき、足元では持ち直し始めました。ただ、これといった強い業界がなく、やや動きが重い。中国では需要のレスポンスが早いので、一般消費が上向けば一気に動きだす可能性もあります。

――業界別の見通しは。

 中国についてお話しすると、昨年は電気自動車関連の需要が好調でしたが、その分今年の投資計画は足踏みの見込みです。自動車販売店では在庫調整に力を入れているのか、新車の生産につながらない傾向も見られます。エネルギー関連は昨年から引き続き集中的に投資されるフェーズが続いています。特に風力発電はずっと投資意欲が高い。中国の政策が関係しているので、市場も堅実です。

――中国以外はどうでしょう。

 欧米は堅調です。欧州と言っても20カ国以上あり各地で商習慣が異なる中で、よくやっていると思います。米国はいろいろな懸念がありながらも、結果的に悪くありません。日本国内も、人手不足などを背景に堅調に推移しています。

――半導体関連はいかがですか。

 前期以来、安定して高い水準の受注です。しかも潜在的な需要があります。半導体市場では半導体製造装置だけでなく半導体そのものの開発も進んでおり、半導体の性能向上に合わせて新たな需要が生まれます。原理を説明できても、量産の手法が確立できなければ研究室から出られません。安定した品質で供給できる状態になり広く採用されるには、具体的な工程設計が必要です。そこにどう貢献するかがポイント。作りたいモノがあり、その生産工程を技術で実現するという意味では、わが社の強みに非常にマッチする領域だと思います。

モーターが事業領域の要

――確かに、安川電機は100年以上にわたり技術で市場をリードしてきました。

 わが社の源流は、炭鉱で採掘した石炭を運搬するためにモーターを開発したこと。石炭を運ぶニーズという「コト」に向き合った結果、動力を生み出すモーターという「モノ」を開発し、モーターを使ってコンベヤーというアプリケーションを開発した。しっかりコトを受けてモノの開発に取り組むことが、そしてそのために一歩を踏み出す行動力が、これからの勝負の分かれ目になるでしょう。

――ロボットもモーターを使った製品です。

 モーターは安川電機の軸です。「モーターを回してコトを成す」ことが事業領域なんです。手前みそですが、わが社ほど選択と集中が明確な会社はないんじゃないかと思う。ロボットも例外ではありません。ロボットはモーターを使った製品として開発されましたが、そもそもモーターが回るだけでは何も起こらないのです。

同じ企業の記事

>>[注目製品PickUp!Vol.5]最小、最軽量の持ち運べる6軸ロボット【前編】/安川電機 「MotoMINI」

>>[注目製品PickUp!Vol.5]最小、最軽量の持ち運べる6軸ロボット【後編】/安川電機 「MotoMINI」

>>[特集FOOMA JAPAN]食の上流も自動化、最前線のエッセンスを会場で/安川電機

>>「人と機械の共生」で自動化/安川電機

>>棚置きロボを発売、省スペースで高密度配置可能に/安川電機

>>貿易摩擦と新型コロナで大幅な減収減益/安川電機

>>高精度、低振動の半導体ウエハー用ロボットを発売/安川電機

>>【特集】[集結! 自動化の最新提案vol.2]バーチャルと現実を連携/安川電機 小川昌寛 取締役常務執行役員

>>協働ロボットの共同研究講座を開設/安川電機

>>研磨やダイカスト、食品向けの仕様を追加/安川電機

>>溶接ロボット「MOTOMAN-SPシリーズ」に高速作業タイプを追加/安川電機

>>欧州スロベニアに産業用ロボットの新工場が完成/安川電機

>>上腕部にケーブルを内蔵できる多用途向けロボットを発売/安川電機

>>水やほこりに強い協働ロボットを発売/安川電機

>>2021年2月期中間決算は減収減益、下半期の回復に期待/安川電機

>>パレタイズ用ロボット、4機種を発売/安川電機

>>防じん・防滴仕様や食品仕様の協働ロボなど発売/安川電機

>>小型ロボットのラインアップを強化/安川電機

>>オンラインイベントでスマート工場提案、2月末まで/安川電機

>>モーターをセンサーに、異常検知などが容易に/安川電機

>>小型塗装ロボをより使いやすく/安川電機

>>20年度は減収も増益を達成/安川電機

>>レーザー溶接パッケージを新たにラインアップ/安川電機

>>可搬2倍の協働ロボが登場!/安川電機

>>農業を産ロボで自動化! JA全農との取り組み加速/安川電機

>>ロボット売り上げ32%増、通期見通しも上方修正/安川電機

>>ロボットを直感操作、タブレット型ペンダントを協働型以外にも/安川電機

>>[国際ロボット展 特別リポートvol.20]自律して動くロボットが主役/安川電機

>>協働型に30kg可搬登場! パレタイズに使いやすく/安川電機

>>中間決算は売上収益、営業利益ともに過去最高/安川電機

>>熟練作業者の動き・力加減を直接ロボットに教え込む/安川電機

>>新社長に小川昌寛専務が昇格/安川電機

>>自動車塗装用のドア開閉ロボット発売、設備コストを削減/安川電機

>>マスク外し、新社長とともに入社式/安川電機

>>売上収益も利益も過去最高、2023年2月期決算/安川電機

>>新中期経営計画「Realize 25」を開始/安川電機

>>強みをコンセプトの実践につなげる/安川電機 岡久学ロボット事業部長

>>[人事]岡久学ロボット事業部長がロボット工場長も兼任/安川電機

>>工場のデジタルデータを製品設計に生かす/安川電機

>>部品調達が正常化し、上半期は過去最高の業績/安川電機

>>[2023国際ロボット展リポートvol.7]次世代ロボット発売、メイン展示は具体性増す/安川電機

>>【新春特別インタビュー】ロボット市場は次のステージへ 本気で未自動化領域に挑む/安川電機 小川昌寛社長

>>i³-Mechatronicsを実現するコントローラーソリューションを展開/安川電機

>>キュウリの葉かき作業ロボット、本格導入へ/安川電機

>>桜の開花とともに82人が入社/安川電機

>>売上収益が過去最高、24年後半の動きに備える/安川電機

>>アステラス製薬と新たな細胞医療プラットフォームの構築に向けた覚書を締結/安川電機

>>ジェイテクト製PLCと直接接続できるコントローラーを発売/安川電機

>>通期見通しは下方修正、次世代ロボットは成長のエンジンになると確信/安川電機

>>FSW対応で切削にも使える高剛性ロボットを発売/安川電機

>>1t可搬のスカラロボット発売、EVバッテリーの組み付けに/安川電機

>>最先端を常にキャッチアップ、セル制御を新たな段階へ/安川電機 小川昌寛 社長

>>トヨタと共同でロボット溶接の新工法を開発/安川電機

>>25年2月期は受注伸びず減収減益、今期は反転増収へ/安川電機

>>高重量化・密集化に対応した自動車製造向けロボットを開発/安川電機

>>米国ウィスコンシン州に新拠点設立/安川電機

>>省スペース・ロングリーチの小型ロボットを発売/安川電機

★お気に入り登録

BASIC KNOWLEDGE