相手は常に顧客であり市場/安川電機 小川昌寛社長
今年3月、安川電機の経営トップに小川昌寛社長が就任した。モーターの技術の応用からインバーターやロボットなどへと事業領域を広げ、2022年度には売り上げ、利益ともに過去最高を記録。従来と変わらず「技術立社」を掲げる一方、小川社長は「コトからモノへ」との方針を強調する。「進化のきっかけはできた。これらをどう生かすかが課題」と話す。
2022年度は過去最高の業績
――22年度の売上収益や利益は過去最高でした。足元の景況感はいかがですか。
22年度はロボットがけん引しました。特に中国での受注が好調でしたが、昨年から弱含みの状況が続いています。とはいえ今年3月以降に底をつき、足元では持ち直し始めました。ただ、これといった強い業界がなく、やや動きが重い。中国では需要のレスポンスが早いので、一般消費が上向けば一気に動きだす可能性もあります。
――業界別の見通しは。
中国についてお話しすると、昨年は電気自動車関連の需要が好調でしたが、その分今年の投資計画は足踏みの見込みです。自動車販売店では在庫調整に力を入れているのか、新車の生産につながらない傾向も見られます。エネルギー関連は昨年から引き続き集中的に投資されるフェーズが続いています。特に風力発電はずっと投資意欲が高い。中国の政策が関係しているので、市場も堅実です。
――中国以外はどうでしょう。
欧米は堅調です。欧州と言っても20カ国以上あり各地で商習慣が異なる中で、よくやっていると思います。米国はいろいろな懸念がありながらも、結果的に悪くありません。日本国内も、人手不足などを背景に堅調に推移しています。
――半導体関連はいかがですか。
前期以来、安定して高い水準の受注です。しかも潜在的な需要があります。半導体市場では半導体製造装置だけでなく半導体そのものの開発も進んでおり、半導体の性能向上に合わせて新たな需要が生まれます。原理を説明できても、量産の手法が確立できなければ研究室から出られません。安定した品質で供給できる状態になり広く採用されるには、具体的な工程設計が必要です。そこにどう貢献するかがポイント。作りたいモノがあり、その生産工程を技術で実現するという意味では、わが社の強みに非常にマッチする領域だと思います。
モーターが事業領域の要
――確かに、安川電機は100年以上にわたり技術で市場をリードしてきました。
わが社の源流は、炭鉱で採掘した石炭を運搬するためにモーターを開発したこと。石炭を運ぶニーズという「コト」に向き合った結果、動力を生み出すモーターという「モノ」を開発し、モーターを使ってコンベヤーというアプリケーションを開発した。しっかりコトを受けてモノの開発に取り組むことが、そしてそのために一歩を踏み出す行動力が、これからの勝負の分かれ目になるでしょう。
――ロボットもモーターを使った製品です。
モーターは安川電機の軸です。「モーターを回してコトを成す」ことが事業領域なんです。手前みそですが、わが社ほど選択と集中が明確な会社はないんじゃないかと思う。ロボットも例外ではありません。ロボットはモーターを使った製品として開発されましたが、そもそもモーターが回るだけでは何も起こらないのです。
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