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2022.06.14

日本と次世代機作りたい/エアバス・ジャパン ステファン・ジヌー社長

「エアバスの歴史は、『世界初』に挑戦し続けた歴史――」とエアバス・ジャパンのステファン・ジヌー社長は言う。日本の航空会社での機体採用数を伸ばすことに加え、日本でのサプライチェーンの構築と強化も最重要課題として位置付ける。「次世代機を日本のサプライヤーと一緒に作りたい。開発の主要拠点の一つが日本と考えています」と力を込める。
※本記事はニュースダイジェスト社が発行する工作機械関連の専門誌「月刊生産財マーケティング」の記事を転載したものです。記事内でロボットにも触れているため、robot digestにも全文掲載します。

燃費向上やCO2削減が一層重要に

最終組み立てラインで組み立てられるA320

――ずばりエアバスの強みとは。
 特徴の一つは共通化です。各種構造やシステム、コックピットなどの共通化を進めているため、航空会社は運用コストを低減できます。同時に、環境性能の強化など、時流に合った開発にも積極的です。また「世界初」を重視することも大きな特徴です。世界初の2人だけで操縦できる中型機A310の開発を筆頭に、世界初のフライ・バイ・ワイヤ(電子制御飛行)システムを実現したA320、世界初の総二階建て超大型機A380などが有名です。旅客機、ヘリコプター、軍用機、宇宙開発でも、技術の先駆者を目指しているのがエアバスの大きな特徴と言えるでしょう。

――足元の市場環境はいかがでしょうか。
 2020年は新型コロナウイルス禍で大変でしたが21年からは順調に回復しています。40年までの20年間弱で、世界で3万9000機の旅客機が必要になるとみていますが、うち約1万5000機強が経年機の入れ替え需要で、残りが新規需要です。中心となるのは小型機で、これがおよそ3万機を占めると予測されます。成長市場はアジアです。特に中国が世界最大の市場になるでしょう。

――コロナ禍を受け、航空会社からのニーズに変化はありますか。
 コロナ禍以前から燃費効率の向上要求は高かったのですが、コロナ禍で一層加速した感があります。そこにロシアのウクライナ侵攻が拍車をかけた格好です。航空輸送業界の目標は「2050年に二酸化炭素(CO2)のネット排出ゼロ」です。当面は、SAFと呼ばれるバイオ燃料の活用に注力しますが、ゆくゆくは水素航空機、その先は電動旅客機の開発が課題となるでしょう。

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