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2025.05.12

連載

[注目製品PickUp! vol.81]ロボットハンド用触覚センサーで、手作業のような繊細さを/XELA Robotics「uSkin」

早稲田大学からスピンアウトして創業したXELA Robotics(ゼラロボティクス、東京都新宿区、シュミッツ・アレクサンダー最高経営責任者<CEO>)は、ロボットハンド用の触覚センサー「uSkin(ユースキン)」を製造、販売する。ワーク(対象物)との接触面にかかる力を高感度に検出でき、つぶれやすい卵なども安定して把持できる。アレクサンダーCEOは「手作業のような繊細な動きを、ロボットでもできるようになる」と語る。

最適な力でつかめる

 XELA Roboticsのロボットハンド用触覚センサー「uSkin」は、ワークとの接触面にかかる力を高感度に検出できる。面に対して垂直と水平方向の力を検出し、検出感度の分解能は0.1グラム重。
 「非常に小さな力も検出でき、ロボットハンドにuSkinを搭載すると、人の手作業のような繊細な動きを実現できる」とアレクサンダーCEOは自信を見せる。

触覚センサー「uSkin」を取り付けたロボットハンドで、折り鶴をつぶさずに把持するデモ

 同製品は応答性にも優れ、ハンドがワークに触れた瞬間に力を検出するため、卵などのつぶれやすい物も必要以上の力をかけずにつかめる。
 そうした繊細な力加減を示すユニークなデモを多数披露しており、その1つが折り鶴の把持だ。uSkinを取り付けた2爪グリッパーが、折り鶴の両翼端に接触した途端に検知し、つぶさずに把持する。

 アレクサンダーCEOは「さまざまな産業で人手不足が叫ばれる中、uSkinを通じて従来は困難だった作業の自動化に貢献したい」と言う。

滑りも検知

ウズラの卵もつぶさずに把持できる

 uSkinのセンサー部分は直径5mmほどの小さな円形状をしており、それをシリコンラバーなどで覆いロボットハンドに取り付けて使う。用途に応じた4タイプをラインアップしており、そのうちシート状のシリコンラバー内にuSkinを並べて配置した「パッチ」タイプの人気が高いという。
 パッチタイプはサイズ別に5種類あり、最小サイズはセンサー1個、最大サイズはセンサー24個を内蔵する。グリッパーの爪やヒト型ロボットの手のひらに取り付ける用途が多く、正方形に16個のセンサーを配置したパッチ「uSPa 44」の受注が最も多い。

 他にヒト型ロボットの指先用の「カーブド」タイプや、市販のグリッパーに最適化した「プロテクト」タイプ、センサーがむき出しの「マルチベンド」タイプがある。加えて、ユーザー指定のグリッパーに適合するようuSkinをカスタマイズして提供することもある。

独自開発のソフトで、接触面にかかる力を視覚的に表す

 同社はuSkinの検出値を視覚化するソフトウエアも開発する。個々のセンサーが検出した力のかかり具合を、画面上にリアルタイムで表示できる。適切な把持力の設定やデータ記録などの機能も備える他、新たに「スリップ検知」機能を開発した。

 つかんだワークが指先から滑り落ちる動きを検知するため、最適な把持力の調整に役立つ。例えばロボットハンドが空の容器を把持している際、その容器に物を入れると重さが変わる。空の容器の重さに適した把持力のままでは取り落としてしまうが、スリップ検知機能なら重さが変わった瞬間に検知し、把持力を強めて容器を持ち続けられる。

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