生産現場のロボット化と自動化を支援するウェブマガジン

2021.01.21

たわみやねじれも正確に! ケーブルに特化したビジョンセンサー【後編】/クラボウ

クラボウは2020年4月、ケーブルなどの形状認識に特化した3次元(D)ビジョンセンサー「KURASENSE(クラセンス)」を発売した。後編では、クラセンスを活用した具体的な自動化システムの事例として、セイコーエプソンと協力して開発した「フラットケーブル高速挿入ロボットシステム」を取り上げる。エプソンの開発担当者の話も交えながら、システムの特徴や両社の出会いのきっかけなどを紹介する。

エプソンと協力して開発

フラットケーブル高速挿入ロボットの概要(提供)

 クラボウが20年4月に発売したクラセンスは、一般的な3Dビジョンセンサーでは形状の認識が難しい各種ケーブルや光ファイバー、コネクター付きコードに力を発揮する。
 ケーブルはたわんだり、ねじれたり、曲がったりして形状が一定ではないが、高速スキャン技術を特徴に持つクラセンスならケーブルの形状を瞬時に、そして正確に認識でき、つかむ位置を的確にロボットに指示できる。

 同社はクラセンスを単品で販売するのではなく、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)のようにロボットなども含めた自動化システムの形にして顧客に提供する。

フラットケーブル高速挿入ロボットの構成(提供)

 その自動化システムの具体例の一つが、セイコーエプソンと協力して開発したフラットケーブル高速挿入ロボットシステムだ。20年10月19日から受注を開始した。
 クラセンスとエプソンの小型ロボット、力覚センサーなどで構成され、従来は人手でしていたフラットケーブルの挿入作業を自動化する。フラットケーブルとは細いケーブルを平面上に束ねたもので、家電製品や電子機器などに使われる。

 まずはクラセンスでフラットケーブルの形状を認識し、その情報を基にロボットがフラットケーブルをつかんでコネクターに挿入する。エプソンの力覚センサーで微妙な力加減を調整しながら、フラットケーブルを正確にコネクターに差し込む。

 システムの販売価格は2000万円(税別)から。24年度に年間10億円の売り上げを目指す。

TOP