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2018.11.28

連載

[SIerを訪ねてvol.2]3つの要素で新市場を開く【その3】 /バイナス

本連載2回目は、愛知県稲沢市に本社を置き、システムインテグレーター(SIer、エスアイアー)事業と教育事業を2本柱で展開するバイナス(渡辺亙<とおる>社長)を訪ねた。前回まではそれぞれの事業の特徴を伝えた。今回はバイナスの設立から現在に至るまでの経緯に加え、今後の展望もリポートする。既存のビジネスに加え、物流業界向けのロボットシステムの提案や独自のロボットハンドの外販など、新規事業にも挑戦する。また、18年9月には新工場の建設に着工する。生産能力を強化し、事業のさらなる拡大を図る。

ユニーの一事業部からスタート

 バイナスは、スーパーマーケットの「アピタ」「ピアゴ」を展開するユニーの一事業部として1983年に始まった。
 バイナスは「Binary Your New Application System(バイナリー・ユア・ニュー・アプリケーション・システム)」の頭文字を取った造語。バイナリーはコンピューターが扱えるデータ形式(二進法)を意味し、「コンピューター技術を応用して、お客さまに喜ばれる新しいシステムを提供したい」との思いが込められている。
 
 渡辺亙社長は「もともとスーパーでパソコンを売ることから当社の事業は始まった。その後、パソコンだけではなく、人工知能やロボットの実習装置などを販売する教育事業も始めた。やがてパソコンの販売事業はなくなり、最終的には教育事業が残った」と説明する。

リーマンがあって良かった

本社の設計ルーム。バイナスでは、設計担当でもロボットを一通り扱えるよう従業員を教育している

 2006年に分社化し、ユニーの子会社としてバイナスは産声を上げた。08年にCDSの子会社になり、この時に教育事業に加え、新たにSIer事業もスタートした。
 
 だが、新規事業としてSIerの仕事に着手しようとした矢先に、リーマン・ショックが発生。
 仕事が全くない期間が続いたが、渡辺社長は「実は、リーマン・ショックがあって良かった」と振り返る。
 「仕事がなかった分、社員の教育に力を割けた。組み立てをしている人にCADの勉強をさせたり、設計者にロボットの操作法の勉強をさせたりした。SIerは幅広い知識が要求されるので、仕事がなかった時間でこうしたさまざまなことを勉強できたのがラッキーだった」と続ける。

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