たわみやねじれも正確に! ケーブルに特化したビジョンセンサー【前編】/クラボウ
自動化が進んでいない作業
クラボウが開発したクラセンスは各種ケーブルや光ファイバー、コネクター付きコードの形状の認識に特化した3Dビジョンセンサーだ。
3Dビジョンセンサーは、トレーやケースの中にばらばらに置かれた金属部品や樹脂部品の形状を認識するのに使われることが多い。
金属部品や樹脂部品は形状が変わらない「定形物」だが、クラセンスが得意とする各種ケーブルや光ファイバーなどは「線状物」と呼ばれ、柔らかく形状が一定ではない。たわんだり、ねじれたり、曲がったりするため、一般的な3Dビジョンセンサーでは正確に認識できず、今までロボットでハンドリングするのが困難だった。
開発を担当した環境メカトロニクス事業部技術開発部商品開発課の北井基善課長補佐は「ケーブルの配線作業は人なら簡単にできるがロボットには難しく、自動化がほとんど進んでいないのが現状」と説明する。
輪郭形状をベクトルで表現
クラセンスの最大の特徴は、ケーブルなどのたわみやねじれ、曲がり具合を高速で、そして正確に認識するスキャン技術だ。
一般的な3Dビジョンセンサーは物体の全体の形状を膨大な点群の集まりとして認識し、あらかじめ用意した3DCAD(設計用ソフトウエア)データと照らし合わせる「パターンマッチング」と呼ばれる方式を採用することが多い。
「数万から数千万にも上る点群データの中からCADデータに合う形状を探す必要があり、計算量が膨大になる」と北井課長補佐は語る。
これに対し、クラセンスは0.1mmの間隔で並んだ点と点を結び、ケーブルの輪郭の形状だけをベクトル(大きさと方向を持った量)で表現する「線分ベクトル認識」という手法を取った。点の一つ一つが座標になっており、つかむ位置をクラセンスが座標値として算出し、ロボットに指示する仕組みだ。