協働ロボット市場に参入、早大発ベンチャー企業と技術提携/ヤマハ発動機
ヤマハ発動機は1月21日、早稲田大学発のロボットベンチャー企業、東京ロボティクス(東京都新宿区、坂本義弘社長)との技術提携を発表した。東京ロボティクスは、ロボットの関節に内蔵するトルクセンサーを活用した力制御技術に優れる。ヤマハ発動機はこの技術を生かした協働ロボットを製品化することで、協働ロボット市場への新規参入を図る。
後発だが力制御技術で差別化
ヤマハ発動機は1月21日、東京ロボティクスとの技術提携により協働ロボット市場に参入すると発表した。
世界的に高いシェアを誇るスカラロボットに加え、垂直多関節ロボットや単軸・直交ロボットなどさまざまなタイプのロボットを製造、販売する同社だが、協働ロボットはラインアップになかった。
後発として協働ロボット市場に挑む同社だが、ロボティクス事業部の山田勝基開発部長は「既存の協働ロボットを上回る画期的な製品を開発する」と自信を見せる。
東京ロボティクスは、ロボットの力制御技術に強みを持つベンチャー企業だ。その技術を応用することで、「例えば繊細な研磨作業が可能になる。また、感触を探りながら部品をはめ込む作業などにも応用できる」と山田開発部長は言う。
東京ロボティクスの坂本義弘社長は、「技術力には自信があるが、ベンチャー企業のためロボットの量産はこれまでできなかった。ヤマハ発動機との提携により大量生産が可能になる」と提携の理由を語った。
今回の技術提携に伴い、ヤマハ発動機は東京ロボティクスが発行する転換社債型新株予約券付社債を引き受け、2億円を出資する。
開発するのは垂直多関節タイプの協働ロボットで、発売時期などは未定。開発したロボットはヤマハ発動機が販売する。
市場はまだまだ拡大する
ヤマハ発動機の山田開発部長は、協働ロボット市場の将来性について「今後はますます変種変量生産が増える。柵付きの従来の産業用ロボットよりも柔軟に運用できる協働ロボットは、時代に即している」と話す。
同社の予測では、2018年時点で約600億円だった協働ロボットの市場規模は、25年には4000億円超まで成長するという。
「協働ロボットを発売するメーカーは多いが、まだまだ普及しておらず黎明(れいめい)期で、後発でもチャンスはある。力制御技術を生かした高い性能と、わが社の量産技術を生かした価格で、新たな市場を開きたい」と山田開発部長は話す。
(ロボットダイジェスト編集部 中井川学)
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