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2020.08.25

イベント

ウェブイベントで新機能発表、AGVから構内けん引車まで/ZMP

ZMP(東京都文京区、谷口恒社長)は8月18日~20日の3日間、ウェブ上で「ZMPワールド2020」を開催した。自社の最新製品を一挙に紹介するイベントで、今年は東京都江東区に新設したショールーム「キャリロイノベーションセンター」から生配信した。発表された多くの新製品、新機能の中から、工場や物流拠点で使う無人搬送車(AGV)「キャリロシリーズ」に関するものを取り上げる。

3方式の自在な組み合わせ

高可搬タイプのAGV「キャリロAD+」

 同社は自動運転技術と、宅配ロボットなどのサービスロボット、キャリロシリーズの3分野でロボット事業を展開する。キャリロに関する大きな発表は3つ。一つ目が新機能「Hybrid SLAM(ハイブリッドスラム)」だ。

 キャリロは、地面に張り付けたマーク(ランドマーク)を読み取って動く「ビジュアルトラッキング」という誘導方式を採用する。設置が簡単でレイアウト変更に対応しやすく、比較的安価な方式だ。しかし、狭い通路に対応できない、路面がアスファルトだとランドマークを固定しにくい、フォークリフトがランドマーク上で旋回すると剥がれることがあるなど、課題もあった。ハイブリッドスラムは、これらの課題を解決するオプションだ。

90cmの狭い通路にも対応

 ハイブリッドスラムでは、ビジュアルトラッキングに加え、二つの誘導方式を併用する。一つが「SLAM方式」。稼働環境のマップをあらかじめ登録し、レーザーセンサーで周囲を確認しながら自律的に動く。ランドマークがなくても長い距離を自律的に移動でき、狭い通路も通れる。人などの障害物も自動で避けて通れる。
 もう一つが「ライントレース方式」だ。キャリロを走行させたいコースにテープを敷設する。テープに沿ってしか走行できないが、直進性や停止精度は高い。こちらも1m未満の狭い通路に対応できる。

SLAM方式に設定したエリアでは人を自動で避けられる

 「3つの誘導方式を自在に組み合わせて使える。出荷エリアや、フォークリフトなどが行きかう通路、狭い保管棚周辺など、状況に合わせて適した誘導方式を選択できる」と笠置泰孝キャリロ事業部長は話す。

 高可搬タイプのAGV「キャリロAD+」向けのオプションとして販売する。価格は5年リースの場合、通常の台車タイプの月額7万3000円に対し、ハイブリッドスラム機能搭載モデルは月額1万2000円の上乗せとなる。

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