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2026.05.13
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[進化する物流 vol.23]自動化の鍵は丁寧なコンサルティング/T5

T5(東京都新宿区、大西弘基社長)は、物流現場の自動化に特化したシステムインテグレーター(SIer、エスアイアー)だ。日々の作業量が予測しづらい物流現場では、効果的な自動化を実現するために運用体制の最適化が重要で、現場の状況分析をするコンサルティングに力を入れる。大西社長は「基礎的な現場環境の改善からシステム設計、導入時の施工まで、個々の現場と伴走して支援する」と語る。

水野敦志:ロボットダイジェスト編集部

運用体制の最適化が重要

T5は物流現場の自動化を得意とする

 T5は物流現場に特化したSIerで、自動化機器の導入や倉庫管理システム(WMS)との連携などを通じて現場の自動化を支援する。現場の自動化といっても、部品加工工場などの製造業向けと、物流現場で求められる要素は異なる。
 大西社長は「事前の計画に基づいて定形の部品を作るのが製造業。一方、物流現場では出荷する商品とその数量が当日に確定するなど、コントロールできない要素が多く、自動化する際の要件定義が難しい」と指摘する。製造業と比べ、物流現場の自動化が進んでいない根本原因がここにあるとする。

 加えて作業スピードや機器の位置決め精度は、製造業ほど厳密には求められない。「物流現場では高度なロボットシステムを構築するよりも、現場のオペレーションの最適化の方が重要性が高い。作業量は日々変動し、予測もしづらいため、作業者と自動化機器が補い合う運用体制が望ましい」と言う。

 そうした点を踏まえ、同社はシステム設計や導入の前に、現場の状況を分析するコンサルティングに力を入れる。その現場の作業内容や人員を把握し、どこに課題があるのかを明確化する。例えば出荷する商品を棚から取り出すピッキング作業では、作業者が目的の商材をなかなか見つけられずに迷っている時間のような、可視化しづらいボトルネック要因を洗い出す。そうすることで、現場に最適な運用体制が見えてくる。

 「特に課題が多いと感じる中小規模の物流倉庫をメインターゲットとするが、そうした現場では日々の作業に追われ、作業工程や課題を整理できていないケースが多い。そこでわが社は現場に通い、必要なら5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)活動の定着を支援するなど、基礎から現場の改善をサポートする」と大西社長。すぐに自動化機器を導入するのが難しい状況であっても伴走し、効率化や省人化を一歩ずつ進めるという。

初めての企業に手厚く支援

現場の要求に対して幅広いメーカーの製品を取り扱う

 創業は1981年で、当初はコンベヤーなど自動化機器の架台設計や製造、施工などを主な事業としていた。その事業は維持しながらも、物流現場全体の自動化支援に業務内容を拡大した。昨年、社名を大河からT5に改称し、今年2月に本社を移転するなど、事業拡大に向け社内体制を整えている。

 自動化支援事業は、足元ではEC(電子商取引)向け物流倉庫からの引き合いが多い。商品の仕分けやピッキングなどの作業の自動化を提案する。自動化機器は特定のメーカーに限定せず幅広く扱え、これまで20社以上のメーカーの製品を使ってシステムを構築してきた。大西社長は「近年は中国のマテリアルハンドリング(マテハン)機器メーカーも急成長している。わが社には中国人のエンジニアがいるため、日本はもちろん中国メーカーともしっかり連携できる」と話す。

「個々の現場と伴走して自動化を支援する」と語る大西弘基社長

 引き合いは順調に増えており、今年1月にはセイノーホールディングスのグループ企業から自動倉庫導入プロジェクトを受注したと発表した。7月からの自動倉庫の稼働を目指し、T5がコンサルティングからシステム設計、施工、稼働立ち上げまでを一貫して担う。その現場では自動化機器の導入が初めてとなるため、T5は作業内容の分析に加え、導入するシステムの投資利益率(ROI)の試算や投資判断の参考資料の作成など、綿密なサポートをしている。

 今後もコンサルティングを含めた手厚いサポートを心がけるが、どうしても案件ごとに時間がかかる点が課題となる。大西社長は「個々の現場と伴走する方針は変えず、システム構築の際に人工知能(AI)でコード生成するなどして、自社の作業効率の向上を図りたい。また納入後のメンテナンスなど、アフターサービスも自社で提供できるよう体制を強化したい」と意気込む。

 

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