• インタビュー
2018.11.01
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[創刊特別インタビュー]10年後が楽しみ/国際ロボット連盟津田純嗣会長

AIで劇的に変わる

「目を持つことで進化」

――技術的なトレンドは?

 人工知能(AI)の活用による、ロボットのスキル向上です。特にロボットがビジョンセンサーという“目”を持ったことで技術が前進しています。生物が目を持つことで劇的に進化した「カンブリア爆発」になぞらえ、期待が寄せられています。これまでの画像認識は、光の加減で見えたり見えなかったりと安定しませんでした。このため、例えば、ばら積みされた半製品の形状を感知して拾い上げる作業をさせることも困難でした。

――それがAIによって変わった。

 5年前ならその画像認識のプログラムを組むのに1カ月はかかりました。ところが今はAIが使えるため、設定だけすればAIが自動的に最適な方法を学習してくれます。信じられないほど簡便にできるようになりました。とはいえ、AIのレベルは、人間で言えばまだ3歳児くらい。それでも画期的ですよね。

――日本と海外でのロボットに対する認識や普及速度に違いはありますか?

 欧州では、ロボットは人間の職を奪うものという見方が非常に根強いです。実際にロボットを使っている人や、製造業内からは一切そんな意見は聞きませんが…。私は海外に行くといろんな人に話しかけてロボットの印象を尋ねます。先日、欧州で会った医師も「ロボットは人間の仕事を奪う」との意識が強い人でした。医師のように優秀な職業に就いている人でもそんなことを思うんだと非常に驚きました。

――重要なのはロボットに何をやらせるかです。

 われわれは、いわゆる3K(きつい、汚い、危険)の仕事から人間を解放しようとの思いでロボット開発を進めてきました。世界中で現在、約200万台の産業用ロボットが製造現場で使われています。一方、3Kの職に就いている人は何億人の単位でしょう。まだ、たったの1%程度しか代替できていないと言えます。

 

(聞き手・編集長 八角秀)

 

※この記事は「月刊生産財マーケティング」2018年8月号に掲載した内容を再編集したものです。

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