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2023.03.27

連載

[ロボットが活躍する現場vol.25]多彩なロボ活用で物流DXを実現/トラスコ中山

機械工具専門卸商社のトラスコ中山は、先端的な物流センター「プラネット埼玉」(埼玉県幸手市)にパレタイズロボットシステムを導入した。だがそれも多彩なロボット活用の一端に過ぎない。プラネット埼玉は「物流のデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現し、次世代型の物流を体現する」と物流本部の岡田真也物流改革部長は言う。同社の物流改革とロボット活用はいかなるものかを知るべく、プラネット埼玉にお邪魔した。

従来比2倍の出荷能力へ

 機械工具専門卸商社のトラスコ中山は、先端的な物流センター「プラネット埼玉」(埼玉県幸手市)にパレタイズロボットシステムを導入した。
 同システムは、大きさの異なる荷物を送り先方面別に自動でパレット(荷役台)に積み分け、自律走行型運搬ロボット(AMR)がトラックに運ぶ。従来はトラック運転手などが搬送ラインから送り先方面別に仕分けを行った上で、荷物を大きさごとに積み直し、台車から車両に運ぶなど、非常に手間のかかる作業だった。

 同システムはMujin(ムジン、東京都江東区、滝野一征最高経営責任者)が開発、製造した。安川電機の垂直多関節ロボット「モートマンGP35L」を使用し、一定の高さのケースを2個同時にハンドリングするマルチピック対応のビジョンセンサー付きロボットハンドを備える。対象は小・中サイズの段ボールケースで、可搬質量はシングルで1箱20kg、マルチで1箱10kg。
 3ラインから供給される荷物を異なる3カ所(3パターン)に同時積み付けができ、ケースの高さ情報を管理して積み付け効率を向上させる。

  • パレタイズロボットシステムの全景

  • 2個同時にハンドリングするマルチピック対応

  • 異なる3カ所に同時積み付けできる

巨大物流センター「プラネット埼玉」

プラネット埼玉の全景

 トラスコ中山は工場や建設現場などのものづくりの現場で必要な作業工具や用品、機器類などの「プロツール」を幅広く手がける。そもそもプラネット埼玉とはどんな場所なのか。
 「ロジスティクス ワンダーランド」「日本最大の工具箱」をうたい、仕入先約3200社の50万アイテム以上の商品を在庫する。出荷行数(受注伝票などに記載される際の行数)は1日最大5万行が可能な、同社最大の最先端物流センターだ。敷地面積は4万7261㎡、延べ床面積は4万2656㎡と巨大だ。

 先に紹介したMujinのパレタイズシステムは、プラネット埼玉が導入する最先端設備のほんの一例。実にさまざまな機器やロボット、システムを導入し、省人化や自動化を推し進めている。

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