大型ロボットがメンテナンスフリーに、協働型には3kg可搬も/ファナック
ファナックが3つの新製品を発表した。ベストセラーの大型ロボットのシリーズをフルモデルチェンジし、メンテナンスフリーを実現した。その他、人が片手で持ち運べる協働ロボットや、自動車・一般産業問わず使え大型ワークにも対応する塗装ロボットも発売する。「これら製品は『2025国際ロボット展(iREX2025)』の会場で初披露するので、ぜひ見に来ていただければ」とロボット研究開発統括本部長の安部健一郎常務執行役員は語る。
バッテリーレスで交換不要
ファナックは累計35万台以上の出荷実績がある大型ロボットシリーズ「R-2000シリーズ」をフルモデルチェンジした。動作速度は最大20%、可搬質量は最大10%、リーチ長は最大10%、手首可搬能力は最大85%向上した。スポット溶接に適する他、ロング・リーチ・モデルも追加され搬送用途などにも使いやすい。
大きな特徴がメンテナンスフリー設計を採用したこと。バッテリーレスのエンコーダー(回転角などを検出するセンサー)を採用し、従来1年半ごとの実施を推奨していたバッテリー交換を不要にした。3年ごとの実施を推奨するグリス交換や、4年ごとの実施を推奨するケーブル交換も不要にした。
「近年は保全の人材不足が大きな課題になっている。1台であればたまにしか発生しない作業であっても、設置台数が多いとバッテリー交換やグリス交換は頻繁で、現場の負担になっていた。これをなくせたメリットは大きい」と安部常務は言う。
超軽量で現場に持ち運べる
協働ロボット「CRXシリーズ」には、最小・最軽量の3kg可搬モデル「CRX-3iA」を追加する。本体質量はわずか11kgで、片手で持ち歩ける。最大リーチは692mm。
同製品で提案するのが、造船や建設分野の大型構造物の溶接だ。人は溶接作業ではなく、同製品を持ち運んで作業箇所に次々に設置していく作業を担う。1人で8台程度を担当できるという。マグネットベースと組み合わせればボルト固定が不要で、床付けだけでなく壁付けもできる。ロボットがトーチワイヤで壁をタッチすることで、ロボットが溶接対象箇所(平面と平面の間の角)を自動認識するため、移設後の教示や修正は不要。レーザー式のセンサーで溶接個所を認識させることもできる。
「固定したロボットでは難しい大型構造物も、このロボットがあれば自動で溶接できる。また溶接だけでなく、組み立てや検査など幅広い用途で使用できる」(安部常務)。
レイアウトの自由度や塗装品質を向上
塗装ロボット「P-55/15-21A」の販売も開始する。一般産業から自動車産業まで幅広く使える塗装ロボットで、2000mm以上の長いリーチがあり大型部品にも対応できる。最大可搬質量は15kgで、幅広い塗装機を使用できる。
アームの構造を左右反転させた「右勝手仕様」と「左勝手仕様」を用意した。左右対称の塗装ラインを構築でき、動作プログラムの流用もしやすい。また、塗装ロボットでは初めて、新型ロボットコントローラー「R-50iA」を採用した。軌跡精度が向上し、塗りムラを低減する。
「これら新製品は来週の国際ロボット展(iREX)で初披露するので、ぜひ見に来ていただければ」と安部常務は語る。
(ロボットダイジェスト編集デスク 曽根勇也)
同じ企業の記事
>>[新春インタビュー]ロボットは“つながる”ことで飛躍的に進化する【前編】/ファナック稲葉善治会長兼CEO
>>[新春インタビュー]ロボットは“つながる”ことで飛躍的に進化する【後編】/ファナック稲葉善治会長兼CEO
>>「高度な技術を使いやすく」、新製品を多数発表/ファナック
>>[特集 国際ロボット展vol.3]AIやIoTを実装、使いやすさ意識の高度な技術/ファナック
>>技術情報をウェブで発信、専用サイト「FANUC DXCE」開設/ファナック
>>QRコードを使ったスマホ問い合わせサービス開始/ファナック
>>ロボット大賞経済産業大臣賞を受賞/ファナック
>>ウェブ展で多数の新製品を発表/ファナック
>>大小のハンドリングロボットを発売/ファナック
>>[国際ロボット展 特別リポートvol.2]新型協働ロボをフルラインアップ/ファナック
>>3年ぶりの自社展で多数の新提案/ファナック
>>協働型で最大50kgまで対応可能に/ファナック
>>最新技術が一堂に!富士山麓の本社で自社展開催/ファナック
>>スペインの拠点を拡張、欧州事業を強化/ファナック
>>戦略的投資の一環で、米国ミシガン州に新拠点を竣工/ファナック
>>教示操作盤を17年ぶりに刷新、ギガキャスト対応の大型ロボットも開発/ファナック
>>既存ラインを変えずに協働ロボットを導入/ファナック 山口賢治 社長兼CEOインタビュー
>>[人事]6月に稲葉善治会長が特別顧問に/ファナック
>>ロボットの遠隔操作システムを開発/ファナック
>>新製品が目白押し、鉄を切削加工できるロボットも登場/ファナック
>>[特集2025国際ロボット展vol.10]幅広い知見で困り事を解決

