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2023.11.22

最大可搬が10kgの双腕協働ロボット「RIDRSシリーズ」を発売/芝浦機械

芝浦機械は10月31日、双腕の協働ロボット「RIDRS(ライダース)シリーズ」を発売した。今回発売したのは、ヒト型の「RIDRS-H」とスカラロボットベースの「RIDRS-S」の2機種。ともに可搬質量は片腕で6kg、両腕で10kg。双腕としたことで、片方のアームで製品を持ったり、押さえて固定しながら、もう片方のアームで各種作業ができる。

全16軸の自由度で人の動作を再現

ヒト型の「RIDRS-H」は、両腕で対象物を把持したまま振り返れる

 芝浦機械は10月31日からの3日間、プライベートショー「芝浦機械グループソリューションフェア2023」を開催した。同イベントで双腕の協働ロボット「RIDRSシリーズ」を発表し、同日から販売を開始した。

 2機種とも双腕としたことで、固定具(ジグ)なしでの作業を実現する。ロボットで作業をする場合、作業対象物(ワーク)をジグに置いてすることが多いが、双腕のため片腕で製品を持ったり、押さえて固定しながら、もう片方の腕で作業ができる。組み立てやねじ締めなどの際に、製品別の専用ジグを減らす効果などを狙った。
 両機種とも国際標準化機構(ISO)が定めた協働ロボットの安全規格「ISO 10218-1」や「ISO TS 15066」に適合する見込み。

 ヒト型のRIDRS-Hは、人間でいう腰のあたりにも関節を持ち、前かがみの姿勢を取れる。片腕7軸ずつの14軸と腰の2軸を合わせ、全16軸の自由度を持つ。
 自由度の高い双腕を持つため、把持している対象物を持ち替えられる。また、腰軸に回転と屈曲の2軸を持つことで、両腕で把持したまま振り返るような作業を実現した。

 これらを駆使して、生産現場で人間の作業を簡単に再現できる。
 例えば、自動車の軽量化のために薄肉になる傾向があるバンパーでも、両手で持ち上げることでゆがみを抑えて把持できる。今までは、単独のロボットアームでは作業ができず、2台を使うと同期制御が難しかった。

両腕に加えて腰も回転

スカラ型のRIDRS-Sは、狭いスペースでの作業に向く

 スカラ型のRIDRS-Sは、片腕に4軸ずつ、腰に2軸で合計9軸を持つ。
 一般的なスカラロボットの動作に加えて、腰軸の回転により、狭いスペースでの作業にも向く。両腕を使用した組み立てや搬送作業ができる。

 また、特殊な動きをする新製品でも簡単に教示作業ができるよう、専用のソフトウエアも合わせて開発した。
 プログラム作成の際には、ビジュアルプログラミング言語の「Blockly(ブロックリー)」も使える。ブロックを積み上げるようなイメージで、ロボット操作に不慣れな人でも簡単にプログラムを作成できる。

 さらに、タブレット型のパソコンをティーチペンダントに採用。そのうえで、教示プログラムの作成と3Dシミュレーション機能を、同一のアプリケーション内で実行できるようにした。
 タブレットPCの採用で、ロボットと接続されていない状態でプログラム作成をするオフラインプログラミングを実現。事前にシミュレーションを繰り返して、現場での手戻りを減らし、立ち上げ作業の負担を軽減する。

 両機種は、11月29日~12月2日に東京都江東区の東京ビッグサイトで開かれる世界最大級のロボット展示会「2023国際ロボット展(iREX2023)」の同社ブースにも展示する。

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